松沢呉一のビバノン・ライフ

ロックダウン反対集会の呼びかけをしただけで手錠をかけられて逮捕された豪の妊婦—帰国した殺人犯から考えたこと[3]-(松沢呉一)

ノルウェー公衆衛生研究所のカミラ・ストルテンベルグ所長は「ロックダウンは不要だった」—帰国した殺人犯から考えたこと[2]」の続きです。

 

 

 

Facebookでイベントページを作った容疑で逮捕

 

vivanon_sentence以下はオーストラリアで問題になっている映像です。

 

 

 

 

彼女はゾーイ・ビューラー(Zoe Buhler)さん。2人の子どもがいて、現在妊娠中。ロックダウンに反対する集会のイベントページをFacebookに作ったことで、9月2日、逮捕されたところです。その後、保釈されていますが、集会を煽動した容疑で何人もが逮捕されています。

ビクトリア州では7月に入ってから2度目のロックダウンを実施し、それが延長されて、9月に入ってもなお続いており、9月半ばに緩和される予定ながら、ロックダウンは10月まで続く予定。

以下はオーストラリアの感染者の推移。

 

2020年9月6日付「worldometers」より

 

第2波の方が大きいのは、おそらく季節の関係だろうと思います。南半球ですから、6月から8月にかけての冬の方が感染しやすい。第2波が始まったために第二次のロックダウンをスタートさせますが、まるで効果はなく、感染者は1日700人を超えます。2,550万人の人口を考えるとかなり多い数字です。

それでも8月半ばには減少に転じ、このところは1日100人を切っているので、「もうロックダウンは必要がない」と思えますが、死亡者の数字がそう判断することを拒んでいそうです。

 

2020年9月6日付「worldometers」より

 

感染者は減少しているのに、死亡者は増えているように見えます。

病人と老人への対策に失敗しているのではないか。だとしたらロックダウンしても解消できない。にもかかわらず、なおロックダウンを長期間継続しているのですから、そりゃ怒る人が出るって。

 

 

アンチ・ロックダウン・プロテストに火をつけた

 

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フリーダム・デイは世界各地に存在していて、国によっては休日ですが、オーストラリアは国の行事ではないながら、以前から存在し、それが今年はアンチ・ロックダウンとリンクしたようです。

フリーダムデイの9月5日は警察官が出動して、人口78,000人しかいない田舎町のバララットでは人が集まらず、しかし、シドニー、メルボルン、ブリスベンでは多数の人が集まりました。警察は集会自体をやらせず、逮捕者も多数出ています。

 

 

 

 

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