松沢呉一のビバノン・ライフ

マスクを義務化したフランスでは感染者数が1日1万人近くに—マスクよりもフェイスシールド[23]-(松沢呉一)

騒いだのは乗客が悪いのだけれど、マスク拒否はそんなに悪いのか?—マスクよりもフェイスシールド[22]」の続きです。

 

 

マスク義務化をしたフランスの無意味

 

vivanon_sentence前回見たようなマスク拒否騒動があると、「法律で強制できるようにしろ」と言うヤツが出てきそうで怖い。そこで一歩立ち止まって、「はて、今まで飛行機での感染例はどの程度あるのか」と調べてみたり、「はて、市販のマスクにそれほどの効果があるのか」と調べてみたりすることなく、従わないヤツは法律で従わせろと発想する。中国共産党と同じ発想です。

その点、前回の防護ポイントいう考え方はとてもわかりやすいでしょう。たかが30ポイント程度の効果しか期待できないマスクごときで騒ぎ過ぎです。

市販のマスクに強制するほどの効果があるのかどうか、フランスの例を見てみましょう。

フランスは第二波の感染者数が増えていたため、遅ればせながら8月28日からマスクの義務化を実施。

 

 

2020年8月28日付「時事通信

 

それから2週間が過ぎました。その効果はあったでしょうか。

 

2020年10日付「worldometers

 

第一波での感染者を超えて1日当たりの感染者が8千人に達する日が出てきて、10日はついに9,483人になりました。「マスクの義務化をしなかったらもっと増えた」という見方もなお可能ではありますが、「マスクに顕著な効果はない」とした方が妥当でしょう。

これは同じく8月からマスクの義務化を実施していてる他の国も同様です。市販のマスクの効果はそんなもんですって。した方がいい場面があるとしても、強制するほどのものではありません。

フランスは死者数は激減していて、1日千人を超えていた時期から(死に過ぎ)、現在は30人台まで落ちてますから、おそらく老人や病人の対策ができて、感染者は死ににくい層に広がっているだけでしょう。当初の恐怖がそのまま維持されているために「なんかしなきゃ」になってしまっているのではなかろうか。

 

 

介護施設も防護ポイントをもっと上げられるはず

 

vivanon_sentence前回書いたように、強制するのではなくて、感染したくない人たちのために、飛行機会社がN95マスクやゴーグル、フェイスシールドを用意することの方が適切であり、少しくらい手間やコストがかかっても、唯一絶対の答えを全員が共有するのではなく、複数の考え方の人たちが共存できる状態の方がよりよい。「絶対にマスクをしたくない」という人も「絶対に感染したくない」という人もいていいですから。

本来、「絶対に感染したくない」という人はその思いを実現するため、自分でN95マスクか防塵マスクをした上にゴーグルかフェイスシールドをすればいいだけなんですけど、マスクさえすればいいというマスク幻想が自身で判断して自身を守るという発想を妨害しています。

また、周りに合わせるという行動原理のため、他人がしていないことはやらない。感染しても他人と同じでいたいだけの人たちですから、ほっといてもいいんですけどね。

マスク幻想によって自身の判断を放棄することが感染者を増やしているとまでは言わないですが、この弊害は「目からの感染」がまったく意識されていないことによく出ています。これについてははっきりとした数値が出されていないですが、「目から感染しない」とも立証されていないのですから、もっと意識されていいはずです。

 

 

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