ドゥダ・ポーランド大統領のホモフォビアとLGBTプロテスト—ポストコロナのプロテスト[9]-(松沢呉一)
「イエローベストが孕む反ユダヤ主義、XRが孕むエコファズム—ポストコロナのプロテスト[8]」の続きです。
ポーランドのLGBTプロテストの高まり
さまざまなプロテストが各地で吹き荒れているわけですが、ポーランドではLGBTプロテストが盛り上がりを見せています。
8月のものですが、ポーランドのLGBTのプロテスト。
ポーランドでは2メートルの距離を保てない場合は、屋外を含めて公共の場でのマスク着用が義務化されているので、8割くらいはマスクをしていそうです。手話通訳は規制の対象外。他の映像を観ると、スピーカーでマスクをしていなのもいます。ここが怖い。マスク不着用で逮捕が可能なのだと思います。義務化なんてすると、権力者がどうでも使える。「決まりだから守れ」って人たちはマスクを忘れて罰金を払うことにも、マスクを落としてリンチされることにも甘んずるのでしょうが。
アンジェイ・ドゥダ大統領の低劣なホモフォビア
6月の大統領選挙で、保守政党PiS(PrawoiSprawiedliwość/「法と正義」の意味)の現職アンジェイ・ドゥダ(Andrzej Sebastian Duda)が接戦の末再選されました。PiSは国家主義、民族主義を取り入れた政党で、右翼政党ともしばしば言われています。
ドゥダはホモフォビアを隠さず、むしろそれを選挙戦で打ち出すことで保守派を取り込む作戦に出て、同性愛者は小児愛者であるとのイメージを作り出して同性婚に反対し、「子どもを守る」キャンペーンを展開しました。
英語字幕もついていないので、何を言っているかわからんですけど、マーゴという名前が聞き取れます。これはMałgorzata Szutowiczです。通称、マーゴット(Margot)、あるいはマーゴ(Margo)。上の動画には登場しないですが、動画のサムネイルに出ているメガネの人物です。
コロナ以前からホモフォビアを強める運動体があって(おそらくPiS関係)、ドゥダはこれに乗っかって選挙戦を繰り広げました。その運動体が「LGBT=ペドアィリア」というワケのわからないStop Pedofiliiキャンペーンを張っていました。
これに対抗すべく、Stop Bzduromというグループが組織されます。Bzduromは「意味のないこと」「バカげたこと」。Stop Pedofiliiキャンペーンにひっかけたもので、直接行動の団体であり、マーゴットはここの共同創立者で看板的な人物です。
Stop Pedofiliiキャンペーンは、宣伝カーでデマキャンペーンを展開し、Stop Bzduromグループはこれを襲い、タイヤをパンクさせており、その容疑者としてマーゴットを含む数名が逮捕されます。
その後、ワルシャワにある偉人たちの像をレインボー化する行動を実行するのですが、その中にキリスト像があったため、宗教を侮辱する行為として48名が逮捕されています。この時もまたマーゴットは逮捕されています。
レインポー化されたキリストの像の写真を出すと、それ自体が法にひっかかるためなのか、見つからないのですが、他の像に対しては手にレインボーフラッグを持たせたり、首に花輪をかけたり、地面のブロックに、おそらくチョークで色づけをしている程度のものです。
破壊したなら別として、宗教を侮辱しただけで罪になってはならない。プッシー・ライオットの場合は教会内に入って儀式の妨害をしていますから、罰金刑くらいにはなっていいと思いますが。
この問題はこれ以降も出てきますので、覚えておいてください。
※FacebookのStop Bzduromのページ
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