松沢呉一のビバノン・ライフ

北欧のBLM(ブラック・ライヴズ・マター)—ポストコロナのプロテスト[13]-(松沢呉一)

バイキングvs.ネオナチ—ポストコロナのプロテスト[12]」の続きです。

 

 

フィンランドのBLM

 

vivanon_sentence前回見たように、北欧ではネオナチ勢力の台頭が目覚ましい。その上、極右以外にも広く排外主義、とくにイスラモフォビア(イスラム恐怖/イスラム嫌悪)が浸透しているように見えます。

こういう動きに対する反発も当然強く、なおかつ移民が多いですから、数千人から1万人を超える規模のBLM集会が北欧各国で開かれています。「現実には臨機応変にマスクをしている—北欧諸国がマスクに積極的ではないのは正しくマスクを評価しているため[下]」でいくつか動画を取り上げましたが、改めて5カ国のBLMを確認してみます。

以下はヘルシンキで6月3日に行なわれたBLM集会。「現実には臨機応変にマスクをしている—北欧諸国がマスクに積極的ではないのは正しくマスクを評価しているため[下]」の動画にあった、マスクを配布していた集会の本編です。

 

 

 

 

1万人以上いそうです。

この中でも「フィンランドはヨーロッパでもっともレイシズムの強い国」と語られています。

どうでもいいですが、フィンランドの動画を観ていたら、BABYMATALのライブが出てきました。今年の2月、ヘルシンキでのライブです。2月だとまだロックダウンはしていなかったのでしょう。観客までは確認できないですが、時期からしても、誰一人マスクはしてないはず。

 

 

ノルウェーのBLMプロテスト

 

vivanon_sentenceノルウェーではオスロでも開かれてますが、以下はベルゲンでのBLM集会(以下すべてヘルシンキと同時期なので、日付は省略)。

 

 

 

政府がマスク推奨に転じる前ですが、半数くらいはしているかも。口の下に下げている人も多いですけど。

「レイシズムのパンデミックが広がっている」という発言がありますが、これはよく言われている表現です。ここまで見てきたように、とくに北欧や東欧で顕著ですが、世界的な傾向でしょう。ヴァージョンとしては「ウイルスのパンデミックよりもはるか前から、レイシズムのパンデミックは続いている」「ウイルスのパンデミックよりレイシズムのパンデミックの方が恐ろしい」など。

以前から言われているように、また、私も繰り返しているように、ウイルスのパンデミックはレイシズムのパンデミックを拡大します。不安や恐怖、そして不満やストレスがこれを促進するわけですが、ロックダウンという方法はまさにこの促進の元凶であった可能性を何度でも指摘しておきます。

 

 

スウェーデンのBLMプロテスト

 

vivanon_sentence続いてはスウェーデンです。

ストックホルムでも開かれていますが、以下はマルメでのBLM。

 

 

ストックホルムではプロテスターと警察が激しく衝突。スウェーデンの警察はけっこう乱暴。英国同様、馬に乗ってますしね。

この段階ではなお50人が集まることは禁止のはずですから、これ自体が違法という事情もありそう。スウェーデンでさえもレイシズム反対の行動が規制され、いつでも潰される状況が作られてしまっています。

なのに、どうして穏やかなマルメを出したのかというと、次回の舞台だからです。

 

 

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