松沢呉一のビバノン・ライフ

バイキングvs.ネオナチ—ポストコロナのプロテスト[12]-(松沢呉一)

ブルガリアのナショナリストによるプロテスト—ポストコロナのプロテスト[11]」の続きです。

 

 

ハーケンクロイツを掲げるフィンランドの極右

 

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今回から北欧のプロテストです。理解するのがけっこう大変なので、覚悟してついてきてください。

プレコロナから始めます。北欧はロックダウンしなかったスウェーデンだけでなく、他もロックダウンが比較的ゆるく、マスクの義務化もほぼないに等しかったため、アンチ・ロックダウン、アンチ・マスクなどのプロテストが見られず、よってプランデミック派も表面化しなかったようです。当たり前ですが、プランデミック系のアンチ諸派がああも各国で表に出てきたのはロックダウンしたからです。陰謀論を拡大したのはロックダウン。

北欧はそっち方面は穏やかですが、別の点で揉めています。日本ではさほど認識されていないかと思いますが、北欧は人種差別の激しいエリアでもあります。もともとナショナリズムが強く、移民を多く受け入れていることとも関係してましょう。

とくにフィンランドは「EUでもっともレイシズムが強い国」と評されていて、以下の動画を見ると納得します。

2018年の独立記念日のネオナチのパレードとカウンターです。

 

 

 

 

フィンランドの極右はナチス信奉者であることを隠しもない。

捕まっているのはカウンター側でしょう。日本でもしばしばレイシストデモに対するカウンター側に警察は厳しく、「レイシストを守るのか」ということになるわけですが、警察の職務としては、そのデモが違法ではない限り、こうなるのはやむを得ないかと思います。

また、日本のアホ系レイシストがハーケンクロイツを出していると、「ヨーロッパでハーケンクロイツを出すと逮捕される。こんな国は日本だけ」と言う人もよくいますが、これを見ればその間違いがよくわかります。公共の場で出すと逮捕されるのはドイツだけで、法案が出た国はあっても通っていないはず。ドイツがヨーロッパのすべてだと思ってはいけない。

ハーケンクロイツとともに私はヤツらが黒旗を掲げていることが腹立たしい。それはアナキズムの旗。私はアナキストではないながら、重なりはありますから、「おまえらがそれを使うな」と言いたくなる。ナチスが赤地の旗を大量に掲げるようになったのも、左翼の赤旗のパクリですけど

 

 

バイキングvs.ネオナチ

 

vivanon_sentence上の動画でも見られますが、彼らはバイキングを意匠に使っていて、これに対してバイキングを誇りにする人たちが怒っています(スウェーデン語には英語字幕が入ってます)。

 

 

 

 

あまり書き込みはされていないですが、Vikingar Mot RasismのFacebookアカウントもあります(前は公開グループだったと思うのですが、今は非公開グループになってます)。同趣旨の団体はノルウェーにもあります

この中に出てくるジョン・フロン(John Hron)は、1995年、ネオナチの少年4人に「ナチスが好きだ」と言えと強要されて拒否して殺害された14歳の少年。当時この事件はスウェーデン社会に大きな衝撃を与えました。

スウェーデンでは映画にもなってます。

 

 

 

14歳には見えない。

 

 

北欧5カ国の極右ネットワーク

 

vivanon_sentenceハーケンクロイツを出しているのは、おそらく参加している一グループだけで、何団体もが毎年パレードをやっていて、例年カウンターも登場し、カウンターが参加前のネオナチを襲撃していたりもします。

このカウンターは命懸けで、中心団体であるSuomen Vastarintaliikeは左翼団体への襲撃、プライドパレードへの襲撃を繰り返し、アンティファ活動家で殺害されたのもいて、メンバーの3分の2は暴力犯罪で有罪判決を受けています(英語版Wikipediaによる)。

Suomen Vastarintaliikeを始め、北欧5カ国に同類の団体があり、The Nordic Resistance Movement(NRM)を組織しています。「バイキングvs.ネオナチ」の動画の中で、↑のついた緑の旗の連中を「新しいファシストグループ」と紹介していますが、それがNRMです。

以下はNRMと闘うテス・アスプルンド(Tess Asplund)さん。

 

 

 

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