松沢呉一のビバノン・ライフ

イスラエル建国以来最大規模の反政府運動—ポストコロナのプロテスト[21]-(松沢呉一)

End SARSからSARS Must Endへ—ポストコロナのプロテスト[20]」の続きです。

 

 

 

イスラエルの厳しいロックダウンと集会規制

 

vivanon_sentenceイスラエルでは、3月から徐々に行動規制が始まって、3月10日にデモや集会を最大2,000人までとし、翌日には100人までとします。3月14日には最大10人までに制限するとともに多数が集まる学校、スポーツ施設、娯楽施設をすべて閉鎖。3月25日から、仕事、必須商品の購入、病院などの例外を除いて家から半径100メートル以上は離れてはいけないことになります。必需品の買物のためならどこまでも行くことはできますが、理由がなければ半径100メートルしか移動できない。

4月12日から、マスク着用の義務化を実施。6歳未満の子どもや病人を除き、家の外では屋外、屋内を問わずマスク着用。自宅以外では、屋内であっても1人の時以外はマスク着用という内容で、世界でもっとも厳しいマスク着用ルールのひとつかもしれない(同じ程度に厳しい国は他にも多数ありますが)。

しかし、ロックダウン中の3月24日に、小規模ながらベンヤミン・ネタニヤフ(בנימין נתניהו)の汚職(昨年起訴され、現在裁判中)を含意する「CRIME MINSTER」プロテストが議事堂前で始まってます。

 

 

 

10人以上集まってはいけないのですが、人や車がバラバラに集まって、バラバラに行動する分には、どこからどこまでが同じ集団なのか判定できないので、捕まえられない、少なくとも捕まえにくいってことかと思います。呼びかけ方次第では捕まりそうですが。

ネタニヤフに対する「CRIME MINSTER」という言い方は、これよりうんと早く、2018年頃から使われていたようです。イスラエル以外ではもっと早くから使われていそうですが(1985年に『The Crime Minister』という小説が出ています)、反ネタニヤフ・プロテストにおいては重要なフレーズになっていきます。

 

 

アンチ・ロックダウンから再開したプロテスト

 

vivanon_sentence4月下旬に規制が緩和され始めてすぐに反ネタニヤフの集会が開かれていました。「ロックダウンにナチズムを見るのは妥当か—ナチスの時代とコロナの時代[2]」で私はこの集会への強い共感を書いています。人数がまだ少なかったらできたことですが、思い切り距離をあけています。「感染対策をしなくていいと言っているのではない。このように個々人で対策はとれるのだから、政府が強制力をもって行動を規制すべきではない」ということです。

この時も、「CRIME MINSTER」というプラカードが出ていました。

やがては反ネタニヤフと新型コロナ対策と経済対策がテーマになっていくのですが、もうひとつ大きなテーマが出てきます。

ネタニヤフ政権は、イスラエルが占拠しているヨルダン川西岸地区のパレスチナの土地のうち、約30パーセンを併合すると発表。

以下は6月のテルアビブ。

 

 

ネタニヤフの対パレスチナ強行路線に対しての反対です。

数千人が集まっていても、なお距離を保てています。

 

 

イスラエルで過去最大級のプロテスト

 

vivanon_sentence7月くらいからはネタニヤフの公邸周辺に抗議のために坐り込む人たちが出始め、毎週末のデモも始まります。

これがそのまま拡散、拡大して8月以降の巨大プロテストとなっていきます。

 

 

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