松沢呉一のビバノン・ライフ

店で働く方が安全なのに街娼をする理由—ポストコロナのプロテスト[33]-(松沢呉一)

シリーズとしては「レキ虐殺(Lekki Massacre)の余波—ポスト・コロナのプロテスト[32]」の続きですが、内容としては「メキシコの法規制が警察の暴力を加速させている—ポストコロナのプロテスト[31]」の続きです。

 

 

教えられないとわからないこと

 

vivanon_sentenceまずは雑談から。

誰もが知る大手メーカーの社員から聞いた話です。食品メーカーは新型コロナの影響はほとんど受けておらず、むしろインスタント食品、レトルト食品、缶詰、乾麺などは、家庭での消費が増えて、例年より売り上げが伸びています。

ここまでは想像できるとして、飲料メーカーが相当に落ち込んでいるんですってね。

検索したら世界的にコカ・コーラの売り上げが減少していて、日本でもこんなことに。

 

 

2020年10月05日付「流通ニュース

 

 

スポーツ飲料はスポーツの際に汗をかいたら飲みます。炭酸飲料も暑い中ジョギングをしたり、歩き回ったりした時に飲むとおいしい。今年は長雨と新型コロナでそれらの行動が消えたため、売り上げ激減。また、飲食店での消費も減少。

言われてみれば納得ですけど、一律に食品関連はダメージを受けていないのだと思い込んでしまってました。

何事もそういうものであって、性風俗も同じ。世間一般では、契約社員が契約を切られたり、アルバイトがクビになったりして、性風俗に人材が流れてきていると思われていたりしますが、吉原のソープランド情報によると、性風俗未経験で入店する人はほとんどいないとのこと。

PCR検査を義務づけている店もありますが、その店では陽性は今のところゼロ。思われているほどは感染しないのですが、「濃厚接触の極限的サービス」とのイメージがあるため、働くことを敬遠する人たちも多いことでしょう。

常連客は戻ってきていても、会合で酒が入って連れ立って遊びにくるような客がいなくなっていて、新規で働き始めても客をつけられない。面接に来たとしても、稼げない旨を話すと働かない。

それも言われれば納得ですけど、言われないとなかなかわからない。

 

 

街娼だけがセックスワーカーではない

 

vivanon_sentenceメキシコの「パンデミック時代のセックスワーク」という切口の記事では、ことごとくと言っていいほど、街娼の話です。いわく「収入が激減し、人数が増え、危険も増えている」と。

しかし、どこの国でもそうであるように、メキシコでも、若い世代のフリー・セックスワーカーについて言えば、今現在メインになっている業態はインターネットを使う方法です。エスコートサービスのポータルサイトを利用するためには客も登録が必要なので、PCなりスマホなりから足がつきやすく、最初から悪いことをする気だったらこの方法はとらない。つまりは比較的安全。

メキシコのエスコート・サイトをざっと見てみたのですが、トランスジェンダーの場合はシーメールと最初から銘打っているので、そこでのトラブルは起きにくい。

対して街娼スタイルの場合、闇の女たちにもあったように、客がそうとは知らずホテルに行き、それからわかって「金返せ」というトラブルが起きることがあります。日本でもそれによって殺人まで至ったケースがあったはずです。

だったら、安全のため、インターネットで探した方がいいと思うところですが、シーメール枠は男性器が残っている人たちの需要がメインであって、性器まで手術している場合は客がつきにくいので、女として路上に立つことになるのかも。

実際、メキシコでも、トランスジェンダーについては若い世代がたくさんいるみたいです。

 

 

これだと、トランスジェンダーだとわからんでしょ。暗いし、マスクしているし。

 

 

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