松沢呉一のビバノン・ライフ

文化財を破壊するプロテストは信用できない[上]—ポストコロナのプロテスト[63]-(松沢呉一)

覆面フェミニストたちの行動は殺人事件の増加を招いたかも—ポストコロナのプロテスト[62]」の続きです。

 

 

 

メキシコのフェミニストによる破壊活動はイスラム国のそれと等しい

 

vivanon_sentenceアンデルレヒトの暴動からブラック・ライヴズ・マターの暴動へ—ベルギーで異常に多い死亡者が出た理由[上]」に出した動画に、プロテスターたちの破壊動画(下に出てきます)を入れようとしながら、「これはちゃんと説明した方がいい」と思い留まってそのままになってました。

その後もエチオピアのオロモがハイレセラシエ皇帝の銅像を破壊しメキシコの武闘派フェミニストたちが文化財の破壊をやらかしているので、改めてまとめておきます。

オロモやメキシコの武闘派フェミニストがやっていることの結論を出しておくと、イスラム国がやっていることと質は同じです。規模が違うだけ。

以下は世界遺産「ハトラ遺跡」を破壊するイスラム国です。

 

 

 

 

見るに耐えない。

あるいはメキシコの武闘派フェミニストたちはバーミヤーン遺跡を破壊したタリバンと等しい。

メキシコの武闘派フェミニストに対して「とても支持はではない」と思っていた私が、「こいつらはどうしようもないクズだ」と結論を出したのは、文化財の破壊です。これを容認してきたメキシコ政府も、批判をしない穏健派フェミストも信用できない(批判している人たちもいますが)。

 

 

銅像を破壊するBLMの暴徒

 

vivanon_sentence今年の6月、英ブリストルのブラック・ライヴズ・マターの集会に集まったプロテスターたちの行動です。

 

 

 

 

この銅像はエドワード・コルストン(Edward Colston)のもの。学校や病院に多額の寄付をした篤志家として知られる17世紀の人物であり、その功績を讃えて、1895年に制作された銅像です。

彼は王立アフリカ会社(Royal African Company)の役員だったのですが、8万人以上の奴隷を移送、その財産の多くは奴隷売買で得たものでした。長らくそのことは知られていなかったのですが、記録を精査して、それらのことが判明し、1990年代以降、銅像撤去の動きが活発化していました。

撤去はいいとして、自分らの判断で銅像を廃棄する行為は許されない。こいつらも私は信用できません。

 

 

続々撤去される銅像

 

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ベルギーではレオポルド2世(Léopold II)の銅像がターゲットになりました。

レオポルド2世は、1865年から1909年まで在位したベルギー国王で、コンゴを私有地として支配して近代化を進め、奴隷商人を排除しながら、自身が過酷な労働を強いたと言われ、レオポルド2世は批判を浴びて、コンゴはベルギー国家が管理する植民地になります。

ブラック・ライヴズ・マターの動きの中でレオポルド2世の銅像に落書きされ、議会で協議した結果、屋外からは撤去して、博物館に収蔵することになったとのこと。また、植民地に因む道路名も改訂されることに。

 

 

2020年7月13日付「HLN

 

 

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