ネパールで大挙逮捕された中国人たち—ポストコロナのプロテスト[67]-(松沢呉一)
「我々を殺すのはコロナではない、警察や政府が殺すのだ」とケニアのスラムから—ポストコロナのプロテスト[66]」の続きです。
ネパール警察のソーシャルディスタンス捕捉器
ネパールのプロテストが激しくなっていることはちょっと前から気づいていたのですが、ネパールには行ったことがあっても政治体制や中国・インドとの関係について詳しくないため、何が起きているのかよくわからずにいました。改めて調べる気になったのはネパール人のおかげです(以下、彼は何度か出てきます)。
3月頃のネパールはのどかでした。
これで捕捉しようとしても、電柱以外はジッと動かずにいてくれるはずがないですが、連行する時にはソーシャルディスタンスを保てる道具です。手錠とロープで十分なんじゃないかとも思いますけどね。
国内がのどかだったのは当然で、ネパールでは1月に中国人の感染者が発見されながらも拡散はせず、以降、対策を着々と進め、それから感染者が2ヶ月以上出ていなかったため、防疫体制がうまくいっていると見られていたのですが、ちょうど警察が新兵器の発表をやっていた3月の下旬になって、国外からの旅行者の感染がまた発見されて、ここから4月にかけて立て続けに感染者が見つかり、国内感染も確認されます。
3月下旬から早くもロックダウン体制に入っていて、これは一定の効果があったのだろうと思われます。
2020年11月17日付「worldometers」
5月くらいまではグラフが見えないくらいに感染者も死亡者も少ない。
ネパール政府に抗議する中国人観光客
しかし、ネパール特有の問題が生じます。観光客です。
以下は4月27日の動画。
3月7日から滞在している中国人観光客が国に帰れなくなってネパール政府に抗議をしています。
1ヶ月以上帰国できないのは大変でしょうけど、飛行機が飛んでないのですから、中国政府がチャーター便を出して、帰国させるのが筋では? ネパール政府も中国にいるネパール人のためにチャーター便を出しています。ネパール政府が観光客を各国に送り届けるようなことはしない。中国人が抗議すべきはネパール政府ではなく、中国政府です。
中国人としては中国政府に抗議なんてしたら、自国に帰って反逆罪で逮捕されかねないってことかもしれないですが、その尻拭いをネパール政府がしなければならない理由はない。
中国人観光客47人が逮捕される
そんな無理は通らなくて、5月8日にはこんなことに。
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