松沢呉一のビバノン・ライフ

風営法とぼったくり—YouTuberたちのぼったくり潜入企画に思うこと[2]-(松沢呉一)

デリヘルのぼったくりは初耳—YouTuberたちのぼったくり潜入企画に思うこと[1]」の続きです。

 

 

ぼったくられる人とぼったくられない人の違い

 

vivanon_sentence以下の2本は、「どうしたらぼったくりにひっかからないのか」の知恵を得るには大変参考になります。

まずは88,000円の言い値通りの金額を払った人。

 

 

 

 

続いて、165,200円を請求されて最初の約束通り4,000円しか払わなかった人。

 

 

 

この両者の違いは、「酒を飲む人」と「酒を飲まない人」。JINさんは酒を飲んでない。酒は判断力をなくします。ぼったくりの店に行く時は酒を飲まないようにしましょう。ぼったくりだとわかっているんだったら、普通は最初から行かないわけですが。

 

 

録音・録画の効果

 

vivanon_sentence最後まで冷静だったことも勝因ですが、JINさんは録音・録画していることがバレたのが大きい。

前回書いたように、私もぼったくり店に入ったことは何度かありますが、居座ろうとして迷惑がられたことはあっても、凄まれたり、脅されたりしたことはないため、「警察に通報するぞ」なんて言ったこともない。そのセリフは私の美学に合わないですけど、ぼったくりの店に入ってしまったら、このセリフは少しは有効。

あっちは「警察を呼ぶなら呼べよ。そっちこそ無銭飲食で捕まるだけだぞ」と言うわけですけど、ぼったくり店の人たちも本音を言えば警察に行くのはイヤですよ。

警察に行ったところで、証拠がなければ詐偽も脅迫も成立しないので、警官は「ここで話し合いをしてください」と言うしかなく、警官立ち会いのもと、10万のところ5万で手を打ってシャンシャンということになるだけです。

最近は見なくなりましたが、歌舞伎町の交番には何組もそういう人たちが詰めかけて、交番の外でもそういう交渉をしているところを見ました。

それだけのことですが、あっちは悪いことをしている自覚はあるので、交番には行きたくないし、どうせ半額になるんだったら、交番まで行って時間を使うより、店でさっさと半額を払わせた方がいい。

この時に、録音、録画があると警察も対応が違ってきますので、JINさんのように、録音、録画を消すことを条件にして交渉するといいでしょう。無理矢理携帯を取り上げるといよいよ違法性が高まるので、ほとんどの場合は、その段階で向こうが「やられた」って気分になって意気消沈です。

違法性のある行為に対して、自分の防御のために録音するのは許されますが、場合によっては逆上させる原因にもなりますので注意のこと。どこの世界でも刺激を与えると感情的になってしまうのが出てきてしまうのは避けられず、客の出方次第では乱闘になることもありましょう。なったらなったでこっちのもんですけどね。怪我のひとつも負えば、警察も黙ってませんから。

暴行、脅迫といった行為がないとしても、サービス内容によっては風営法違反で摘発される場合があります。

弁護士を含めて、どのYouTuberもここまで突っ込んでいるものがないので、ざっと説明しておきます。

 

 

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