松沢呉一のビバノン・ライフ

覆面フェミニストたちの行動は殺人事件の増加を招いたかも—ポストコロナのプロテスト[62]-(松沢呉一)

文化財の破壊・人権委員会の占拠・金をめぐる対立—ポストコロナのプロテスト[61]」の続きです。

 

 

 

よそのデモに寄生する覆面部隊

 

vivanon_sentence続いて9月28日の国際安全中絶の日(INTERNATIONAL SAFE ABORTION DAY)。

 

 

 

 

趣旨は前年と同じ。

画面では確認できないですが、火炎瓶も飛んだみたいです。

これを見ると、覆面グループばっかりにも見えて、数百はいるのでしょうが、これが参加者のすべてではなくて、最後の方に出ているのが行動のメイングループです。ここはいつもの「メディアは派手なところを取り上げたがるので全体が見えなくなる現象」です。

覆面部隊もメインの人たちがいる広場に向ったのですが、機動隊に阻止されて、合流できず。相変わらず、前面に出ているのは女の機動隊員ですが、催涙スプレーを使用しています。大統領激怒の結果か。

何もしていないのに催涙スプレーを使用するのは不当だとして、これは適切な使用法です。

ことによると、覆面部隊を広場に近づけないように、主催からの要請があったのではなかろうか。すでに穏健派フェミニストたちから厄介者とされてますから。

※2020年9月17日付「gaceta.mx」 8月の行動を受けて破壊行動に対する批判が高まっていることを報じた記事です

 

 

警察はゴム弾や実弾を使用するように

 

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これ以降も国家人権委員会占拠は続き、国家人権委員会に続いて、州の人権委員会もフェミニストに占拠された例があるのですが、こちらは短期で追い出されています。しっかりしている州もあるのでしょう。

メキシコ州(メキシコシティとは別)のデモではゴム弾が使用されるようになっていますし、キンターナ・ロー(Quintana Roo)州のカンクン (Cancún)市では11月9日にデモ隊が火を放ったために、警察が実弾を使って威嚇し、8名が逮捕された模様。

 

 

 

この様子はFacebookでリアルタイムに観ていて、死者が出たという話も流れてましたが、これは間違いだったようです。

警察は威嚇のために撃ったと言っていて、たしかに映像でわかる範囲では空に向けているのですが、ジャーナリストが足を撃たれたとも報じられています。警察は撮影の妨害もしていて、覆面部隊のフェミニストたちの姿勢と同じ。

州知事と市長は警察の対応を非難していて、警察が暴走したのだと思われます。これがメキシコ警察の本来の姿。

メキシコのアナキズム系フェミニストは、事に乗じて騒ぎたいだけのインドネシアの糞ガキと同じ、東欧のフーリガン系プロテストと同じというのが私の結論ですが、警察がひどいのも事実で、すぐに発砲するため、これでまた死者が出ると、プロテストが拡大します。私自身、評価すべき点が見出せないメキシコのフェミニストであっても殺してはいけないとの思いが生じ、警察に対して火炎瓶を投げていいと思い始めます。

 

 

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