松沢呉一のビバノン・ライフ

新年早々借金と自殺未遂の話—2021年の抱負(なんて立派なものはもうないけれど)[6]-(松沢呉一)

新年早々自殺の話はいつまで続く—2021年の抱負(なんて立派なものはもうないけれど)[5]」の続きです。

 

 

キャバ嬢や風俗嬢に貸した金のほとんどは返ってきてないはず

 

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昨年4月、「借金に走るキャバ嬢や風俗嬢たち—コロナの時代に流行るもの・廃るもの[12]」に、借金で食いつないでいるキャバ嬢や風俗嬢が続々出てきているという話を書きました。

あれから9ヶ月近くになりますが、金を貸した人たちの大半はまだ返してもらってないだろうと想像がつきます。

しっかり貯金をしていて、2ヶ月か3ヶ月ほどのんびり休んで復帰した風俗嬢たちに聞くと、その後常連客がきれいに戻ってきていると言います。新規客がなかなか来てくれないので、その分、収入が減ってはいても、もともと常連を多くつかんでいれば予約で埋まり、新規客をつける余地が少ないので、そんなに影響はない。

また、結婚していたり、同棲していたりして、その相手が十分に稼いでいる場合は、しばらく主婦をやっていればいいし、実家暮らしであれば家事手伝いをしていればいい。

「貯金がある」「働かなくても支えてくれる人がいる」というのが仮に全体の5割いるとしたら、残りの5割は、常連客に頭を下げて愛人になったり、マンションを引き払って実家に帰って息を潜めていたり、借金をしたりして食いつないでいたわけですが、もともとさして稼いでなくて借金した層はなかなか元通りにならない。

地域や業種、店によって程度は違えど、どこも客の絶対数が減ってますから、働き手の数を増やしにくい。客を多数持っていながら貯金がなかったために金を借りた層はもう復帰して借金も返せるとして、客をもっていないと、今まで働いていた店でも歓迎されない。復帰できたとしても今までのようには稼げない。他の店で雇ってくれるところがあったり、別業種で雇ってくれるところがあっても、ゼロからのスタートは厳しい。

実際に金を貸した知人によると、12月末の段階でまだ返ってきていないとのこと。連絡は途絶えておらず、「まだ苦しいので、もうちょっと待って欲しい」と言っているそうなので、返す気はあるのだと思いますが、返せる状態ではなく、知人も返せるまで待ってあげるようです。いい人に借りましたね。

※年越し蕎麦は立ち食いで

 

 

自殺未遂した風俗嬢たち

 

vivanon_sentence自殺にからめてもうひとつ書いておきます。

これも昨年聞いた話です。コロナ以降、風俗嬢で自殺未遂を起こしたのはけっこういるのだと。ここまでの話と矛盾するようですが、事情がわかると、全然矛盾はありません。

「こんな話に感応するのはバカみたいだぞ」って話なので、SNSで無闇に他人に共感することを諌める教訓になろうかと思うのですが、私自身で確認した内容ではないし、こういう話は広くは書きにくいので、講読者パートでこっそり書いておきます。

 

 

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