松沢呉一のビバノン・ライフ

高嶋政宏に学んで個人で判断して個人で行動する—緊急事態宣言に抗する[2]-(松沢呉一)

ソープランドの知恵を飲み屋に活かす—緊急事態宣言に抵抗する[1]」の続きです。

 

 

 

営業時間短縮の無意味

 

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いずれも伝聞ではありますが、年末に「このままでは年を越せない」という話をチラホラ聞きました。苦しさを表現するただの常套句ではなく、家賃や仕入れ先、金融機関など、支払いや返済の延期をしてくれていたのが「今年のうちに払ってくれ」ということになったのでしょう。

そういった話を聞いていた会社や店がどうなったのかは確認していないですが、現に年越し前に潰れた例が多数あります。「ここまで頑張ったけれど、もう無理」ってところか。

その上またも緊急事態宣言で息の根を止められる店が出るでしょう。たまらんですよ。

ここまで繰り返してきたように、営業時間の短縮なんて「政府はちゃんとやってます」のポーズ以外に意味がないので、店も客も無視すればいい。ただし、自分自身でしっかり判断をすることが肝心。

だいたいの銭湯が、前回の緊急事態宣言時に営業短縮をしてましたが、まるで意味がありませんでした。営業時間が減ったことで燃料費が節約されて、客は前倒しで来るので、客数がいくらか減っても結果利益は変わらなかった銭湯が多いようですけど、混み合うだけですよ。

混み合ったところで、高温多湿で天井が高い銭湯の感染リスクは低くて、待合室で長時間話し込んだりしない限りは安心ですから、感染防止のためにはどっちだっていいんですけど、どっちでもいいことのために、電車を乗り継いで、インターネットで調べた閉店時間の2時間も前に行っているのにシャッターが閉まっている悲劇を繰り返したくない。東京の銭湯巡りは終わったのですけど、遠くの銭湯に行きたい欲求がまだ残っているものですから、もうやめて欲しい。

私の場合、閉まったシャッターの前に佇んで途方に暮れるのがマゾ的に好きなので、それもまたよしですが、そこから奮起して「よし、次を探すべ」となることが前提であって、どこもかしこも閉まっているとなるとただの絶望しかなく、江戸川に飛び込みたくなります。

今回も自主的に営業時間短縮をする銭湯があるかもしれないですが、短縮するならインターネットの営業時間を直して欲しい。

※写真は江戸川

 

 

スーバー銭湯が続々閉店

 

vivanon_sentence組合銭湯はおもに生活に必須な人たちが行くところですから、オフィス街にあるような銭湯以外は、客数がさほど減らなかったわけですが、スーパー銭湯は相当潰れています。

以下は「開店閉店.com」から、12月に閉店した銭湯とスーパー銭湯・健康ランド。

 

開店閉店」より

 

 

あっ。小平浴場が廃業したのか。これを見て初めて知りました。何度か長期休業していて、この機会にいよいよ廃業したのでありましょう。

ここ、「観光視点」的にムチャクチャよかったんですよ。国分寺駅から多摩湖線に乗り換えて一橋学園駅へ。道はわかりやすいのですが、駅から離れているので、一直線の道をトボトボと歩き続けて辿り着く秘湯のような銭湯です。ボロいってことなんですけどね。ボロい銭湯は近隣の人が「日常視点」で敬遠するので、潰れていくのが必然です。

 

 

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