ボビ・ワインは繰り返し逮捕され、拷問され、ボディガードは殺害された—ポストコロナのプロテスト[87]-(松沢呉一)
「ボビ・ワイン(ロバート・キャグラニー)はウガンダを変えられるのか—ポストコロナのプロテスト[86]」の続きです。
逮捕そして拷問
2018年8月、ボビ・ワインは銃器の不法所持と暴力煽動で逮捕されます。これもでっち上げ。
以下はそれに抗議をする人々と警察とのバトル。
抗議行動が高まり、野党も国会でこれを問題にしたため、検察は起訴を取り下げて、ボビ・ワインは釈放されるのですが、その直後に今度は反逆罪で逮捕されます。
繰り返しますが、度重なる逮捕でも有罪にはなってません。この一連の逮捕、拘束で拷問を受けたらしく、仮釈放された際に治療のため渡米しています。つまり、この逮捕はそれ自体が嫌がらせであり、ネガキャンのネタであるとともに、拷問をしてでっち上げの容疑を認めさせるか、ヨウェリ・ムセベニ批判をやめさせるのが目的です。
これ以降も、逮捕が続いていて、ヨウェリ・ムセベニ政権がとても民主政治をやっているとは思えません。疑いのない反民主的独裁者です。
度重なる逮捕自体、不当選挙と言っていい
ムセベニ大統領は、絶大な人気のあるボビ・ワインが自身の地位を脅かすことを怖れていたようで、事実、ボビ・ワインは2020年7月14日、野党のひとつである国民統一プラットフォーム(NUP/National Unity Platform)に参加と同時に党の代表となり、2021年1月の大統領選挙に立候補することを表明。
映画「Situka」の続編が始まりました。
それを受けて8月にまた逮捕されています。
11月3日、正式に立候補の手続きをとったあとまた逮捕され、11月18日にも逮捕されています。
以下は11月18日の逮捕の様子と、そのあとのプロテスト。
実弾を人に向けて撃っています。
ここでは37名死亡とありますが、57人という数字も出ていますし、最大100人以上死亡という説もあります。警察が発表しないので、1人1人確認していかないとわからないのでしょう。
この時は新型コロナで禁止されている集会違反の容疑です。しかし、ムセベニは集会を実施していますから、明らかに不当な適用であり、規制の政治利用です。分類3です。
ウイルスで死ぬ人より警察に殺された人の方が多い
ウガンダでは、3月18日から集会やコンサート、礼拝などの規制が始まり、徐々にロックダウンが実施されていきます。
しかし、最初の感染者が見つかるのは3月22日です。これは集会潰しを狙ったものではなく、ウガンダは感染症対策には実績があって、早い段階で強攻策をとったのでしょう。中国同様、独裁政権ではためらいなし。
2021年1月18日付「worldometers」より
このグラフにはマイナス座標があって、5月21日に、104名感染者数が減っています。これは国外からのトラック運転手の感染者で、すでに国外に出たので「減らせ」と大統領が命じたものです。これによって感染者合計は約4割減っています。
感染者の数は厳密な国際統一ルールがあるわけではないので、これでもいいのかもしれないですが、明らかに数字を少なく見せるための方法です。感染症に強い国を守りたい意思を感じますし、おおっぴらにやっているのですから、こっそりごまかす国よりマシとも言えます。
2021年1月18日付「worldometers」より
ここまでの感染者数は38,085名で、死者数は304名です。致死率は0.9パーセント弱。少ないです。トラック運転手を加えたところで、老人率は思い切り低いので、むしろパーセンテージは下がるはず。
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