ボビ・ワインの完敗か、それともヨウェリ・ムセベニによる不正の勝利か—ポストコロナのプロテスト[88]-(松沢呉一)
「投票の前にボビ・ワインは繰り返し逮捕され、ボディガードは殺害された—ポストコロナのプロテスト[87]」の続きです。
ウガンダ大統領選投票日
1月14日がウガンダ大統領選の投票日。「なんで平日なんだよ」と思ったのですが、大統領選の投票日は祝日になるようです。
以下は投票するボビ・ワイン夫妻です。
すっげえいい家に住んでます。敷地も広大。スラムから成り上がった国民的スターですので。大きな犬小屋みたいなのがありますが、あそこに私は住めそう。
支持者の熱狂もすごいし、メディアの数もすごいですが、本人は疲れている様子です。そりゃそうでしょう。
コロナ対策かもしれないですが、どこも投票は屋外のようです。
大統領選の結果は現職ムセベニの圧勝
注目されていたにもかかわらず、投票率は57パーセントに留まりました。
投票日の翌日一部開票された結果が発表され、ムセベニが62パーセント、ボビ・ワインが29パーセント。
1月16日に選挙管理委員会はムセベニ当選を正式に発表し、ムセベニが58.64パーセント、ボビ・ワインが34.83パーセントで、ムセベニの圧勝でした。
投票日のあと、ボビ・ワインの自宅は軍に包囲され、16日には軍が塀を飛び越えて家に侵入。
軍は警備をしたのだと言っています。もっともボビ・ワインを殺したい軍が警備とは笑わせる。
この包囲の中、選挙参謀が逮捕されて暴行されていますし(すでに釈放)、ボビ・ワインとともにPEOPLE POWER運動で連帯する国会議員のフランシス・ザーケ(Francis Zaake)が家に近づいたところ、軍に暴行されて入院したと代理人がTwitterに書き込んでいます。
なぜこれほどまでに厳重な包囲をしたのかと言えば、米国やセルビアのように、選挙戦あとの搔乱を防ぐためでしょう。ボビ・ワインが呼びかければ確実に暴動になります。
家から出ようとしたら、煽動容疑で逮捕し、抵抗した場合はその場で射殺していいくらいの命令は出ているかもしれない。
ムセベニが通常の頭脳を持っているなら、それをやったらいよいよ混乱は必至で、ハチャル・フンデッサ殺害なみの大混乱になることは間違なく、国際的な非難が高まることも避けられないことくらいはわかっているでしょうけど、ここまで見てきたようにムセベニはすでに民主主義国家にしようなんてことは考えていそうにないので、何をするかもわからない。アミンやミルトン・オボテともはや同じと思った方がいいでしょう。
と考えた時に、この状態では、支持者たちも動きがとれない。抗議行動をすると、ボビ・ワインは殺されかねないわけですから。ボビ・ワインが煽動した証拠なんてナンボでも作れましょう。
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