ウクライナのLGBT運動の成果—ポストコロナのプロテスト[93]-(松沢呉一)
「ウクライナのアンチ・ロックダウンの中心は中小企業の経営者たち—ポストコロナのプロテスト[92]」の続きです。
リベラルと極右の共同行動
#SaveФОП以外のプロテストも多数あります。
これは昨年6月に行なわれたアルセン・アバコフ(Арсен Борисович Аваков)内務大臣の辞任を求めるプロテストで、破壊されているのは廃車になった旧型のパトカーです。
この前に、警察官によるレイプ事件と、犯罪グループ間の抗争事件があって、ウクライナ革命以降内務大臣を務めるアルセン・アバコフが警察の腐敗や暴力を改善できず、犯罪の対策もできていないとしてプロテストになったもの。
注目したのは、参加している顔触れです。
スビャトスラフ・ヴァカーチュクのホロス
スビャトスラフ・ヴァカーチュク(Святослав Вакарчук)というミュージシャンがいます。彼はロックバンド、オケアン・エルズィ(Океан Ельзи)のヴォーカリストで、ソロ活動も続けています。
両親とも物理学者で、スビャトスラフ・ヴァカーチュクもウクライナの名門リヴィウ大学(Львівськийуніверситет)で理論物理学を学び、博士号を取得していますが、在学中に大学で結成したバンドがオケアン・エルズィ。
政治的発言や活動も多く、国会議員をやっていたこともあります。ユーロマイダンも支持して、プロテストの中での演奏。
曲の良し悪しはよくわからんけれど、ドローンの映像は圧巻。そりゃステージから写真を撮りたくなりましょう。この時の演奏はフルヴァージョンもアップされてます。
2019年の議会議員選挙の際に、ヴァカーチュクは新しい政党ホロス(Голос/声の意味)を創設し、20名が当選(ヴァカーチュクは出馬せず)。
ヴァカーチュクは上の動画のプロテストにはいなかったようですが、ホロスなど野党政党もこれに参加し、フェミニスト・グループやLGBTグループが参加し、右派セクターも参加。
右派セクターも野党のひとつではありますし、彼らも警察には痛めつけられています。
ここでのLGBTはキエフのプライド・パレード「キエフ・プライド」(Київ Прайд)を主催しているグループで、さんざん極右が妨害してきた相手です。当然、右派セクターは左派とも対立しているわけですが、こういう時は一緒にやるのがウクライナ流かもしれない。
と思ったのですが、反ロシア極右は現在LBGT批判の中心ではなくなっているようです。親ロシア極右が妨害をやっているようなのです。以下参照。
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