松沢呉一のビバノン・ライフ

ミンク大虐殺とデンマークの黒い人たち(MIB)—ポストコロナのプロテスト[103]-(松沢呉一)

インドの農民蜂起と抗議の自殺—ポストコロナのプロテスト[102]」の続きです。

 

 

 

ミンク大虐殺と農家の困窮

 

vivanon_sentenceまるでマスクをしない人と、自宅以外ではつねにマスクをしている人がいた時に、感染する率にどのくらいの差が生じると思います? マスクをしていない人が10人感染する時に、マスクをしている人は何人感染するのか。10対0と考えている人もいるでしょうし、10対2程度と考えている人もいるでしょう。

これについては昨年デンマークで実験報告が出ています。それを紹介する前に、各自どのくらいの数字になるか考えておいてください。

先週末、オランダのついでに軽く見ておこうと思って、つい深入りしたのがデンマークです。

デンマークではBLMのプロテストが行なわれていたことは前に見た通り。以降、さほど目立つ動きはなかったのですが、ミンクから変異型のウイルスが発見されて、人間にも感染するというので、すべて殺処分になった報道を見た人は多いでしょう。ミンクはかわいくてな。

殺処分後に、農民たちの抗議がありました。

インドからのトラクター・デモつながりです。

 

 

 

トラクターがでかくて迫力あるなあ。

結局のところ、ミンクから発見された変異型はとくに危険なものではなかったようですが、にもかかわらず、農民たちの意見も聞かないまま、殺処分が決定されたことへの抗議と十分な補償がなされないことの抗議です。

これは農家がやらなくていいのだと思いますが、殺処分のあとも面倒で、感染しなくなるまで6ヶ月間地面に埋めて、そののちに焼却。

数千のミンク農家に対する補償はなされるのですが、一から出直して毛皮を出荷できるまでには数年かかるため、先が見えないまま、多くのミンク農家は転業を強いられ、借金を抱えて自己破産した例も出ています。

よく「農家は強い」という話が出ます。どんな作物を栽培しているのか、どんな家畜を扱っているのかによっても違いますが、コロナ禍でもあまり影響は受けない。そもそも感染しにくい環境です。食い物にも困らない。

しかし、デンマークのような例があり、インドのような例もありますから、状況次第、政治次第で困窮します。

 

 

デンマークのMIB(Men in BLACK)

 

vivanon_sentenceデンマークでも小規模ながらパンデミック派のデモが行なわれていますが、どこも一緒なので飛ばします。

続いてはつい最近の動き。先週末です。

 

 

 

5名が逮捕されたとのこと。

松明行進はナチスの時代から右派が得意とするところです。ナチスがいきなり始めたのではなく、ヨーロッパにはその伝統があるのでしょうけど、北欧はネオナチが強いですから、警戒をしました。

しかし、そういうデモではありませんでした。MIB(Men in Black)と名乗るグループの呼びかけです。だから黒い格好の人が多いわけです。

彼らはFacebookで呼びかけていて、管理社会、監視社会に反対して自由を掲げるグループで、プランデミック派の影響はなさそう。どっちかというとアナキズムの黒っぽい。よかった、個人主義者である私とシンクロする部分が多い人たち。ネオナチではなく、ポルノ解禁の方のデンマーク

デンマークでは3月にロックダウンが始まり、緩和されつつ、今も規制が続いていて、これが2月まで延長されたことを受けて、先週末は今月2度目のプロテストでした。

 

2021年1月27日付「worldometers

 

死亡者は減っていないですが、感染者ははっきり減っています。死亡者は病院や介護施設の対策と家庭内の隔離を強化することでしか減らせないのではなかろうか。それを全体の規制でカバーしようとするからおかしくなるのです。

 

 

反ナチスのプロテストソングが甦る

 

vivanon_sentence以下はMIBのテーマソング。

 

 

 

 

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