松沢呉一のビバノン・ライフ

チュニジアが採用したクオータ制は後退—ウガンダとチュニジアのクオータ制[2]-(松沢呉一)

クオータ制がウガンダの独裁制をサポートした可能性—ウガンダとチュニジアのクオータ制[1]」の続きです。

 

 

 

チュニジアの場合

 

vivanon_sentence前回見たウガンダ方式の問題点は、強い者がより強くなる可能性が高いだけでなく、誰が何票で当選したのかがはっきりわかってしまうことにあります。「あの女の議員は男の議員の半分で当選したんだぞ」と。

クオータ制に限らず、最下位当選はトップ当選に比べてはるかに少ない得票で当選することがあるわけですけど、このタイプのクオータ制では落選した男性議員より少ない得票で女性議員が当選したことが見え見えになって、純然たる個人の能力ではないところで当選が決定する不公平な制度であることがあからさまになります。

ウガンダでどうして同じ選挙区内に女性枠を設置して二重構造にしたのかよくわからないのですが、好意的に見れば、こうすることによって、一般枠でも女性候補が当選する可能性があるので、女性議員が増えやすいと考えたのかもしれない。

しかし、遮二無二女性議員を増やすのであれば他にも方法はありますから、おそらく違う。

女性枠を設けず、男女等しく立候補し、投票し、その中の女性候補のトップを優先的に当選させる方法だと、それ以上に得票した男性候補がいたことが見えやすくなることを避けたのかもしれないとも思いますが、女性枠を作る限り、今度は「どうせあの候補は女性枠」という見方をされるので、こういう見方から逃れられないでしょう。

※内容と関係ないですが、新大久保にあったチュニジア料理店「ハンニバル」は昨年8月にコロナ閉店しました。店主が帰国してから一斉メールが来ていて気づきました。チュニジア料理はエチオピア料理のような癖はなくて、クスクスのようなアフリカらしい素材がありつつも、味は地中海料理です。イタリア料理やスペイン料理の仲間。

 

 

革命とともに導入されたクオータ制

 

vivanon_sentence現実に、その手のクオータ制でウガンダで議員になった女性は「二級議員として見られる」といった発言をしています。これは言われそう。会社員でも「あいつはコネ入社だから」と言われるようなものです。実力を発揮するようになれば消えますが、能力が低いと「やっぱりね」と言われ続けます。

その点で、比例代表の名簿に条件づけをする方法は誰が何票とったのかがわからないので、差が露にならないメリットがあります。

それをやったのがチュニジアです。

2018年8月28日付け「UN Woman」の記事では、チュニジア革命以降、選挙制度を改正してクオータ制を導入したことを肯定的に取り上げています。

チュニジアでは各党の立候補者名簿の半数を女性にし、男女を交互にする方式です。これをジッパー方式(zipper system)と言います。ただ名簿の半数を女性にしなければならないだけだと、上位を男にして、下に女の数揃え要員を入れれば男ばかり当選するわけですが、ジッパー方式はこれを防げます。

その結果、この記事の段階で地方議員の47パーセントが女性になったという内容。

ただクオータ制を導入しただけでなく、国連機関であるUN Womanのバックアップで、さまざまな対策をやったことも書かれています。

この記事の最後に、2019年には大統領選と議会選挙があることが書かれていて、そこでも女性の進出が期待される締めになっていますが、結果は前回の選挙に比して大きく後退しました。

 

 

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