クリスティーナ・キルチネル副大統領の汚職とロックダウンの関係—ポストコロナのプロテスト[110]-(松沢呉一)
「アルゼンチンのフェミニストたちの勝利はポーランドに伝播するか?—ポストコロナのプロテスト[110]」の続きです。
厳しい上に効果のなかったロックダウン
アルゼンチンの現副大統領であるクリスティーナ・キルチネルの汚職やマネーロンダリングを追及する国民の声が高まる中、2020年になって、彼女にとって幸運なことに(かどうか知らないけれど)、コロナ禍がやってきます。批判派が言うように、裁判遅延のため、ロックダウンをしたかどうかは置くとして、現実に裁判がロックダウンで遅れていることが報じられています。
ロックダウンで150日間裁判が中断されれば、その間に証拠を隠滅するなどの工作も可能ですけど、起訴されてから数年が経っているので、工作しようと思えば十分に時間はあります。どうせいずれは結論が出るのに、裁判遅延のためにそこまでするかなあとの疑問はありつつ、確認だけはしてみましょう。
2021年2月1日付「worldometers」
感染者数は、南米ではブラジル、コロンビアに次ぐ第3位、世界第12位。人口4千万人なので、人口比で言うと、ベスト10に入りそうです。
長期のロックダウンは破綻した経済をさらに追い込んだ
しかし、対応は早かったのです。3月3日にイタリアから帰国したアルゼンチン人の感染が判明したのが最初の感染者で、3月7日には最初の死亡者が出ており、3月16日から州単位でロックダウンが始まり、3日後の3月19日には全国で実施されます。
上のグラフでは、ほとんど見えないですが、その頃までには1日10人を超える感染者が出ているので、適切な判断だったと言えるかもしれない。
ここから繰り返しロックダウンは延長されて、7月17日まで続きます。4ヶ月。
4月14日に、ブエノスアイレスでマスクを義務化。公共交通機関と、人と接することのあるすべての人が対象で、罰金あり。
集会も禁止されてましたが、8月28日以降ソーシャル・ディスタンスを保ち、マスクをつけることを条件に10人以下の集会が可能に。
前回の動画で、車に乗ってのデモをやっているのは、車だと集会とは見なされないためではなかろうか。
感染者数、死亡者数を見ても、ロックダウンに効果があったとは思えず、経済は当然悪化。
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