隠蔽・不正・民主化潰し・少数民族迫害で高まる対中国プロテスト—ポストコロナのプロテスト[115]-(松沢呉一)
「店舗や企業の抵抗が各国で始まっている—ポストコロナのプロテスト[114]」の続きです。
署名くらいじゃ変わるはずのない独裁国・中国
アムネスティの最新キャンペーン。
「家族にも会えない!投獄された香港の若者10人に正当な権利を!」
香港から脱出しようとして捕まった12人の民主化活動家たちは、家族の接見も許されず、まともな裁判を受けられず、うち10人に有罪判決が下されました。
これから先も、香港だけでなく、中国全土でどれだけの人が逮捕され、投獄されていくのかを考えると暗澹たる気持ちになります。
以下はこのキャンペーンを知らせるアムネスティからのメール。
「中国政府を動かすのは非常に困難ですが、私たちが声をあげ続けることで、動かせる未来があることを信じて」と書き添えなければならない中国の絶望。
実際、何万人何十万人もの署名が集まったところで反省するはずがなく、方針を変えるはずもないのが中国です。
大半の共産党幹部は「この国から脱出しようとした不届きなヤツらだ。何十年でも刑務所に放り込め」と本気で思っているでしょうけど、少しは「このままではまずい」と思っている人たちもいるはずで、すぐには無理でも、いつかなんらかの動きを起こしてくれることを期待したい。とは思うのだけれども、共産党幹部の一人二人が習近平体制に楯突いても粛清されるだけ。
独裁体制を変えることはかくも難しい。
英国政府が中国国営テレビの免許を取り消した件
数日前にこんな報道が流れてました。
2021年2月5日付「BBC」
この記事に経緯が説明されているように、昨日今日の話ではなく、英国の放送法に違反している疑いがあるため、英国通信局(Ofcom)は中国国営テレビCGTN(China Global Television Network)に質問を送っているのに繰り返し無視したため、「そうした努力も底を尽きた」(「底を突いた」とするのが正しい。どうしても「尽きた」を使うなら、「底が尽きた」でしょう)。
中国メディアの報道もチェックしましたが、いつものように、どこも似たり寄ったり。経緯についても都合の悪い点は無視して、「英国のBBCや日本のNHKも国営だろ」と言ってます。似たようなものだし、内容的にも危うさはあるのだけれど、NHKは国営とちゃう。
そこはどうでもよくて、そもそも経営母体が問題になったのではなく、編集権がどこにあるのかです。報道の自立性の問題。
実際、CGTNの報道は中国共産党のプロパガンダ放送と見なされても仕方なく、自立性ゼロ、公平性ゼロ。
ドイツのRuptlyはしばしばロシア政府が資金を援助していると言われ、Ruptly側はこれを否定。金をどこが出していてもいいのですが、Ruptlyはナワルニーを契機としたプロテストのようにロシア政府にとって不都合なことも取り上げていて、公平性はあると私は判断していて、よく「ビバノン」でもリンクしています。多くの場合、映像だけで、解説がないので、使いやすいということもあるし、Ruptlyしか動画を出していないこともよくあります。
対してCGTNはまるで信用できない。それでもリンクすることくらいはありましょうけどね。
※CGTNのサイトのトップページに出てくるウイグルについてのファクトチェック。と称して中国政府の言い分を垂れ流し。それが事実かどうかを現地で確認するのがメディアの役割。CGTNでは現地に行っても意味ないけれど、誤解だ、間違いだと言うのであれば、国外のメディアに自由に取材させればいいだけです。
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