ムスリムの反中国とアフリカでくすぶる反中国—ポストコロナのプロテスト[116]-(松沢呉一)
「隠蔽・不正・民主化潰し・少数民族迫害で高まる対中国プロテスト—ポストコロナのプロテスト[115]」の続きです。
ネパールのムスリムによる反中国プロテスト
各地で大きな潮流になっているのは、中国のウイグル迫害に対するムスリムたちの反発です。
前に取り上げたネパールでは、その後も親中国のオリ首相に対するプロテストが続いていて、小規模ながら反中国プロテストも続いているのですが、それらの流れとは違うこんなプロテストが行なわれてました。
昨年11月。
顔見知りのネパール人が「ネパールにもムスリムはいる」と言ってましたが、国民の4パーセント程度。それでもウイグルの件では居ても立っても居られないってところじゃないでしょうか。
在トルコのウイグル人たち、激おこ
現在もっとも激烈に中国を批判しているのはトルコ人たちです。古くからウイグル難民が文化圏として近いトルコに多数移住しており、トルコ内でコミュニティを形成しています。その数5万人。
その人たちが中心となって、反中国闘争をやっています。
ちょっと古いですけど、2015年にはタイ領事館に突入。
このままの時系列だとすると、破壊したあとお祈りをしているうちに警察が来て捕まったんですかね。捕まることは明らかなので、まず逃げた方がいいと思うのですが、こういうことをしたあとはすぐに祈るという教えがあるのかもしれない。逃げずに捕まるのは潔いとも言えます。
ウイグルからの100名もの難民を中国にタイが送り返すというのでタイ領事館への抗議です。確実に収容所行きです。タイも領海で揉めてますが、ムスリムには冷たいのか?
こういう調子ですから、ずっと中国へのプロテストが続いているのですが、昨年末からさらに必死です。
その事情は以下参照。
レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領(Recep Tayyip Erdoğan)はここ数年中国に接近していて、昨年12月には犯罪人引き渡し条約を批准。
犯罪人引き渡し条約は一方の国が犯罪者であると認定したら引き渡す内容ですから、なんだって犯罪者にできる中国とこんな条約を結んだら、国外に出たウイグル人は全部引き渡されます(それを防ぐ条項があればいいのですけど、そこまでは調べてません)。
パキスタンでも中国は得意の不正
南アジアのことはあんまりよくわかっていないですが、インドと中国は国境をめぐって対立、インドとパキスタンも国境をめぐって対立、パキスタンと中国は親密な関係。そのはずなのですが、国民レベルではパキスタンでも反中国機運が高まってきています。
昨年8月のパキスタン。
カシミールを流れるジェルム川(वितस्ता)の支流であるニーラム川に中国企業によるダム建設が始まっています。昨年、インドと中国が衝突した場所からも近く、この地域は不正にパキスタンが占拠しているとしてインドがダム建設に反対していたのですが、昨年7月に中国と調印。
規模がわかりにくいですが、この川の流域の住民が千人以上参加とのことです。そんなに人が多く住む場所ではないと思いますので、千人集まるのは、それだけ下流域の人たちにとっても重大事ってことでしょう。
住民たちは川の流れが変わることに反対しています。農業用水の確保ができなくなると農民は困ります。これはダム建設でよくあることですが、昨年末、中国企業の請求金額に不正があったという報告書が出されて、一躍問題が大きくなります。全国民の問題。
この映像もインド・メディアです。
(残り 2572文字/全文: 4328文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ