松沢呉一のビバノン・ライフ

法・宗教・習俗で封じられている名前—男の名前・女の名前[3]-(松沢呉一)

キラキラネームに通じるかもしれない英語圏・独語圏の命名トレンド—男の名前・女の名前[2]」の続きです。

 

 

 

名前についての縛りが強い国

 

vivanon_sentence前回見たように、親が子どもの名前を思いついたまま決定できない国がヨーロッパにはけっこうあります。他国からの移入者が歴史的に多い国、多くはなくても、それを怖れる国では、他文化、他言語、他宗教を主張する名前を使うことを嫌うためでしょう。洗礼名をミドルネームに入れることになっている国が少なくないように、とくに宗教的に嫌う国が多そうです。

これも普遍主義的対応とも言えますが、それらの国々で公認されている名前は聖書に基づいている名前が多いはずですから、普遍主義に立つなら、聖書に出てくる名前も禁止すべきってことになります。

子どもの名前が予め国家と宗教に握られてしまっているのは気味が悪い。たしかに名前が限定されていた方が迷いがないし、キラキラネームのような、どこにもない名前は出てこず、他人の名前の由来までがわかる利点はありますけど、それらはすべて利点ではなく、欠点のように思えます。

たしかに利点かもしれないと思うのは「突拍子もない名前を申請する親に役所が患わされることがない」ってことだけです。

しかし、これは原則自由にして、NG領域だけ決定しておく方法で避けられますし、日本もそうです。

イスラエルはユダヤ教の縛りが強いではないかと思ったら、全然違っていて、原則自由で、グレープフルーツみたいな名前が実在しているみたいです。日本でも愛媛や和歌山に蜜柑さんがいそうですしね。

その上でNG領域を設定していて、NGになった具体例を出している記事がありました。

医療保険番号には笑いました。子どもの名前にしておけば忘れませんし、忘れたら子どもに聞けばいい。

ヘブライ語でなんと発音するのかわからないですが、「陰嚢」というのも実際にあったらしい。日本語だと漢字で書くからタマに直結しますけど、「インノウ」だったらわかりにくい。いんのう忠敬。これは苗字か。

※2015年12月7日付「MAKO」  イスラエルのメディア。いろんな国のNGネームを並べていて、そんなに正確な内容ではなさそうですが、ここに出したのはイスラエルの実例っぽい。

 

 

ニュージーランドのNGネーム

 

vivanon_sentenceニュージーランドも同じ方式です。最終判断は裁判所が下すのですが、そういう例が後を絶たないため、実例を公開して、注意を促しています。

これを見ると、アルファベット1文字や2文字、記号はNG。Jのように発音としてはJayという名前と一所になるものもありますが、イニシャルと間違われて、「フルネームを書きなさい」とどこに行っても言われて、いちいち身分証明書を出さなければならなくなって面倒な思いをするってことでしょうか。

実在する職業、役職、階位、敬称の類いはNGです。大統領、大臣、王、女王、皇帝、男爵、巡査、ミスター、サーなど。場合によっては生まれついての詐称になってしまいます。

 

 

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