「全裸はいいけど、マスクをしろ」と言われるチェコは名前のタブーも謎—男の名前・女の名前[4]-(松沢呉一)
「法・宗教・習俗で封じられている名前—男の名前・女の名前[3]」の続きです。
イタリアもチェコも男の名前を女に、女の名前を男につけてはいけないと法で決まっている
イタリアでは、法律で男の名前、女の名前が定まっている名前については異性につけることは禁止。イタリアではアンドレア(Andrea)は男性名なので女につけてはいけないのですが、イタリア以外で男性名はアンドレアス(Andreas)で、アンドレアは女の名前として使われることの方が多いかと思います。
ドウォーキンもアンドレア(Andrea Rita Dworkin)。
そっちは嫌いですが、ブルガリアのアンドレア(Андреа)はまあまあ好き。
久々に観たけど、メチャいいな。最後はガレナ(Галена)も登場。
見ればわかるように、入れ乳です。
そういう国のアンドレアがイタリアに帰化する場合は改名しなければならないのでありましょうか。帰化時にその国に合わせて名前を変更しなければならない国も少なくないのですが、面倒くさいな。私はアンドレアって名前じゃないので心配することはないですし、アンドレアって名前でも男だからいいのか。
チェコでも男の名前、女の名前と決定している名前を異性が使うことは法的にできないながら、どちらでもない名前は使用可。一般に使用されていない名前もつけられはするのだけれども、ざっと見たところ、習俗的規範が強くて、チェコのサイトでは「あれだめこれだめ」といくつものNGネームが挙げられています。
そのため、人気の名前ベスト10みたいなものがあっても、よく知られている名前ばかりになっていて、固定された名前の中での流動があるだけです。結果、「3年ぶりにヤコブ(Jacob)がトップに返り咲いた」みたいなことになってます。
日本でもそれで食っているような姓名判断、易学の人たちが「こんな名前をつけると早死にする」などと脅すようなことはありそうですが、チェコでは、占星術師でもない人が書いているものを見ても、だいたい同じことを書いているので、広く共有されている規範のようです。
たとえば、個別には悪くない名前でも、姓名ともに短い名前はよくない、姓名ともに長い名前はよくない。
※2018年5月23日付「Pianeta Mamma」 イタリアの育児サイトに掲載された名前についての記事。
チェコの謎のタブー
ニュージーランドではヒトラーはNGで(ヒトラーは姓ですが)、ドイツやイスラエルでも法で禁じられていますが、チェコでは法で禁じられてはいないながら、ヒトラーはもちろんのこと、アドルフもやめた方がいいと書かれています。東欧だと、そっち方面だけじゃなく、ヨシフ(スターリン)やウラジミール(レーニン)もやめた方がいいのかもしれない。
ここまでは理解できるのですが、Bohuš Matušのように姓と同じ発音で終わる名前やPatrik Krausのように姓の最後と名前の最初の文字がダブるのは避けた方がいいなど、謎のタブーがあります。公園で全裸でいてもいいけど、マスクをしろと注意される、わかりにくいルールの国ですから。
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