カタルーニャとバレンシアの音楽群[10]—ポストコロナのプロテスト[140]-(松沢呉一)
「カタルーニャとバレンシアの音楽群[9]—ポストコロナのプロテスト[139]」の続きです。
ロス・チコス・デル・マイース(Los Chikos del Maíz)
ロス・チコス・デル・マイースはスペイン語でとうもろこしのチコス。チコスはとうもろこしのスナック菓子のことだと思うのですが、スペルが違います。あっちはChicos、こっちはChikos。商標でひっかかるとか、なんか事情があったのかも。
ロス・チコス・デル・マイースはバレンシアのラッパー二人組で、彼らもまたバルトニクやパブロ・ハーゼル支援の曲「Los Borbones son unos Ladrones 」に参加。
本場スペインの「No Pasarán」はどストレートなアンチファシズム・ソング。
「No Pasarán」のフレーズ通りに、ヒトラー、ムッソリーニ、フランコの名前を出して、歴史的な設定にしていますが、もちろんこれは今の歌。
NANIWAというレーベルです。スペイン語あるいはカタルーニャ語で「ナニワ」ってどういう意味だろうと思って自動翻訳にかけたのですが、出てきません。
検索したところ、マドリッドにナニワがつく日本料理屋が2軒ありました。店名のナニワについている言葉が違って、系列かどうかは不明ですが、たぶんこれが元ネタだな。スペインでは寿司のことをナニワと呼んでいるに違いない。
以下は「ナニワ・ラーメン・スシ」という店。
謎の日本料理があります。サーモン丼かな。
「T.E.R.R.O.R.S.M.O」は、そのタイトル通りテロリズムの曲。
テロの肯定ではなく、銀行や多国籍企業こそがテロリズムであり、最大のテロリズムは無関心でいることだという内容であり、テロリズムを否定的に扱ってますから、よい子の歌です。
これだと警察も捕まえられないかもしれないですが、彼らはネオナチからはつけ狙われているらしい。このシリーズでは、こっち方面のミュージシャンばかり取り上げているため、スペインはアンティファが強いように思えてしまいますが、右派も強い国です。
クララ・ペーヤのゲストだったアナ・ティジュともやってます。
曲は直接的なメッセージではないですが、難民がテーマの曲で、間にはさまる映像が辛い。リビアからの難民でしょう。彼らは助かったから喜んでもいいのだけれど、あの背後には死んでいる人たち、自国で殺された人たちもいるのだし、これ以降も問題は山積み。
でも、CCCPのTシャツはどうなんかと。シャレならいいんだけど、本気っぽいからなあ。
あと、腕の「精神分裂病」ってタトゥはどうなんかと。
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