松沢呉一のビバノン・ライフ

カタルーニャとバレンシアの音楽群[12]—ポストコロナのプロテスト[142]-(松沢呉一)

カタルーニャとバレンシアの音楽群[11]—ポストコロナのプロテスト[141]の続きです。

 

 

 

シウダッド・ハラ(Ciudad Jara)

 

vivanon_sentenceでに取り上げたパンク・バンド、ボイコットの曲に、すでに取り上げたロス・チコス・デル・マイースアスペンカット前回取り上げたZOOラ・ライースが参加した曲。

 

 

このメンツですから、もちろん、プロテスト・ソング。多国籍企業や国王を批判し、貧困問題を訴えております。ボイコットはマドリッドのバンドですが、この手のものになると、カタルーニャやバレンシアのミュージシャンの出番であることがよくわかります。

タイトルの「Hablarán Las Calles」は「路上は話す」といった意味で、あの娘さんが持っている段ボールに書いてあるのは「路上の音 人々の声 人々の武器」みたいな言葉。「路上で声を上げろ」あるいは「その声に耳を傾けろ」といったメッセージです。

参加しているバンド名が町中に描かれているのがオシャレ。

その中で唯一ここまで取り上げていないのはシウダッド・ハラです。これはラ・ライースのメイン・ヴォーカリストで、曲の多くを作ってきたパブロ・サンチェス(Pablo Sánchez)が2018年に脱退し、長期の充電期間を置いて、昨年新たにスタートさせたバンド。ラ・ライースは彼抜きで継続。

パブロ・サンチェスは上のMVでも、大事なパートを担当しています。

シウダッド・ハラはハラ市の意味。実在しない市名で、パブロ・サンチェスの娘の名前に因んだとのこと。ビクトル・ハラがそうであるように、ハラは姓です。どういうことかわからず。

ラ・ライースもプロテストソングばかりやっているわけでもなく、シウダッド・ハラは公表している曲がまだ少ないためかもしれないですが、プロテストが強く出ているものは見つかりませんでした。

ラ・ライースに比すと、アコースティック寄りの叙情路線で、そのことも関わっているかもしれない。

 

 

ラ・ライーズは他にもメンバーが入れ替わっていて、元ラ・ライーズのメンバーが結成したバンドは他にもありますが、めぼしい曲がなかったので省略。

 

 

フントス・ボル・ウーナ(Juntxs por una)

 

vivanon_sentence以下は昨年パブロ・サンチェスやZOOなど、さまざまな人が参加したフントス・ボル・ウーナというプロジェクト。「一緒に」の意味。

 

 

タイトルの「Si se calla el cantor」は「歌手が沈黙するとき」という意味。コロナで歌う機会を奪われたことに対するメッセージです。

 

この曲はもともとメルセデス・ソーサ(Mercedes Sosa)の曲であり、上の「Hablarán Las Calles」にも通じる内容です。

 

 

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