カタルーニャとバレンシアの音楽群[11]—ポストコロナのプロテスト[141]-(松沢呉一)
「カタルーニャとバレンシアの音楽群[10]—ポストコロナのプロテスト[140]」の続きです。
ZOO=ZOO POSSE
続いては、バルトニクとも曲を出しているZOOというヒップホップ・スカバンド。その関係からか、彼らもバルトニクやパブロ・ハーゼル支援の曲「Los Borbones son unos Ladrones 」にも参加しています。
ZOOはバレンシア・ガンディア(Gandia)のバンドです。このMVはPropaganda pel fet!のチャンネルが公開していて、オブリント・パスとも活動をともにしてました。
歌詞にエマ・ゴールドマンやドゥルッティが出てきます。ブエナベントゥーラ・ドゥルッティ(Buenaventura Durruti)は、ドゥルッティ部隊を組織したアナキスト。ヴィニ・ライリーのドゥルッティ・コラム(The Durutti Column)はこの部隊の名前です。伊藤野枝が影響を受けたエマ・ゴールドマンもアナキストですが、アナキズムへのシンパシーなのか、ファシズムと闘った人々への賛意なのか、どっちかわからん。
つうか、カタルーニャの場合、スペイン内戦の頃からアナキズムが強かったため、そこが渾然一体となっているかもしれない。
バンドの存在も全然知らなかったですけど、ZOOも来日しているんですね。
最初の見所は44秒。背中に首枕をしょってます。飛行機での寝心地がまったく違うはず。彼も頸椎ヘルニアか。
フジロックでもカタルーニャ独立旗が出ています。バレンシアなので直接は関係ないですけど、彼らもカタルーニャ独立を支持しているのかも。そうじゃないと独立旗をわざわざ持ち込む人はいないでしょうし。
フジロックでやっている曲のホーンのフレーズが沁みます(8分過ぎ)。これだけで泣きそうになったわ。
「ESBARZERS」って曲。
これはいい曲じゃ。歌詞も沁みる系。カラオケで歌いたい。
このホーンのフレーズは聞いたことがあるような。何かの曲からとったのかも。ビクトル・ハラかな。
バルセロナでのライブなので、ここでもやっぱり独立旗や民主旗。
フジロックのステージやチャンネル名、Tシャツの文字はZOO POSSEになっています。ZOOというユニット名は各国に多数存在していて(日本にもありました)、それと区別するためにZOO POSSEという名称も使っている模様。
パンク雑誌「ZOO」が「DOLL」になったのも登録商標が先に出ていたためです。たしかペットショップが雑誌を出すつもりで登録していて、クレームがついたんじゃなかったかな。
シンプルな言葉はこういうことが起きて、商品化する場合に金を払わなければならなくなります。とくに国外ではどの分野で登録されているのかをいちいち調べるのは煩雑すぎるので、ZOO POSSEにしているのではなかろうか。
YouTubeでZOOを検索しても動物園の動画ばかり出てきて、Spanish ZOOを検索するとスペインの動物園ばかり出てきて、動物園が好きな私はいちいち観てしまうため、こういう場合はZOO POSSEという名称があった方が便利。
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