松沢呉一のビバノン・ライフ

カタルーニャとバレンシアの音楽群[16]—ポストコロナのプロテスト[146]-(松沢呉一)

カタルーニャとバレンシアの音楽群[15]—ポストコロナのプロテスト[145]の続きです。

 

 

¡LIBERTAD PABLO HASÉL!

 

vivanon_sentenceこのシリーズは前回で終わる予定だったのですが、数日前に以下の曲を知ってしまいました。

 

 

 

ARTISTAS UNIDOS POR LA LIBERTAD DE EXPRESIÓN: ¡LIBERTAD PABLO HASÉL!」(表現の自由のために連帯するアーティスト:パブロ・ハーゼルの自由のために)。以下「¡LIBERTAD PABLO HASÉL!」とします。

Los Borbones son unos Ladrones」には参加していないミュージシャンたちによるもので、KOPが参加してますが、あとはすべてここまで取り上げていないミュージシャンたちです(正確に言うと、グループとしては取り上げていて、そのメンバーが個人名でこちらに参加している例は他にあり)。今まで40組以上取り上げてきましたが、まだこんなにいるんかと脱力しました。

原稿を書き終えたところで、「キャプションも書いてください」と新たに頼まれると疲労感が強いのと同じ。ウンコをたっぷり出してケツをきれいにしたあとで、もう少し出そうになった時の疲労感と同じ。

¡LIBERTAD PABLO HASÉL!」の歌詞は出ておらず、内容はわからんのですが、語調と表情から、ストレートな怒りの表明であることは想像がつきます。

なんでこっちには気づいていなかったのかと言えば、「Los Borbones son unos Ladrones」は比較的知名度の高い人たちが参加し、曲もMVも丁寧に作られていて、完成度が高いのに対して、 「¡LIBERTAD PABLO HASÉL!」はそれほど知名度のない人たちが中心になって曲をつなげているだけのアバウトな作りです。映像もそれぞれの参加者に送ってもらったものでしょう。

そのため再生回数は二桁違い、YouTubeも勧めてこなかったのです。もしかすると表示されていたのかもしれないですが、サムネイルは文字だけで地味です。

 

 

パブロ・ハーゼルの仲間たち

 

vivanon_sentenceパブロ・ハーゼルの口パク映像が入ってますが、投獄直前に撮影したものじゃなかろうか。パーブロ・ハーゼルは裁判や投獄で表現規制反対の象徴となり、知名度も上がったのだと思われて、もともとはこっちの人たちの方が人的なつながりが強く、曲をともに出していた人たちが 「¡LIBERTAD PABLO HASÉL!」には多くいます。

そういう意味では 「¡LIBERTAD PABLO HASÉL!」の方が重要であり、パブロ・ハーゼルがきっかけで、ここまで至った私としても無視はできないのですが、ぶっちゃけこっちのミュージシャンはあちらに比べると魅力に欠けます。スペインに住んでいたらまた別として、昨日今日、カタルーニャやバレンシアの音楽にハマった私としてはここまでのように熱心には聴く気になれない。

「¡LIBERTAD PABLO HASÉL!」を取り上げて、「こんなんもあります」で終わらせていいかとも思ったのですが、いざ参加者それぞれのMVを観たら、その中から面白いものを見出してしまったり、気づくことがあったりして、結局熱心に聴いてます。

しかし、こっちは歌詞が公開されていないことが多いので、曲の内容がわからない。ストレートな表現が多いので、MVからだいたい想像はできますが。

あっちのミュージシャンはたいていWikipediaに項目があったのに対して、こっちはたいてい項目がなく、出身地や活動場所も確認できない人たちが多数います。とは言え、カタルーニャ語が多く、独立旗もよく出ているので、ほとんどがカタルーニャだと思われます。

探せばどこかしらに出ているとは思うのですが、手間がかかるので、これについてはここまでより簡単に済ませます。つっても参加者が多いので長いですけど。

 

 

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