松沢呉一のビバノン・ライフ

ヒゲ率の高い中野の銭湯と「銭湯ブーム」の実情—新・銭湯百景[15]-(松沢呉一)

春の銭湯と春が来そうにない学生街—新・銭湯百景[14]」の続きです。

 

 

中野区の銭湯はコロナ禍でも活気がある

 

vivanon_sentence先週、中野区の銭湯に行きました。何度も入ったことがある銭湯ですが、このところはご無沙汰で、3年ぶりくらいではなかろうか。もともと人気の高い銭湯ではあるのですが、人がいっぱいでした。

中野駅前にいくつも大学が移転してきて、中野も今は学生街と言ってよく、十階以上ある高層学生寮もできているため、リモート講義が増えても中野区内には学生がいる状況になっています。

その銭湯に人が多いこととそれとはあんまり関係がなさそうで、学生らしい客よりもヒゲの客が多くて、「ここはスペインか」と思いました。全員が全員そうではないでしょうが、大半はゲイです。一目でわかる人たちが何人もいて、さすが中野だと思いました。

ハッテン銭湯ではないですが、住民に多いので、必然的にゲイ率が高くなります。ゲイが好む銭湯、好まない銭湯というのがあるため、中野区にある銭湯のすべてがそうではないので、誤解なきよう。

ノンケカップルだと銭湯に来ても男湯と女湯に生き別れになりますが、ゲイカップルだと一緒に入って、中でも和気藹々としているので、空気が和みます。

もともと中野にはそういう銭湯が存在していたわけですが、比較的早い時間帯(午後8時台)にああもゲイ率が高かったのはコロナ禍だからかもしれないと思いました。ゲイバーは補償金が出るので休んでいる店が多い。時間短縮しようにも、営業は午後9時からだったりするので、休むしかなかったのです。

店はやっていない上に、ハッテン場にも行きにくい。だったら手短な銭湯でしょ。デートに最適で、鑑賞にも最適。うまくすればそこで知り合って、ロマンスが始まるかもしれないとのファンタジーも生まれます。

ゲイの住民が多いエリアの銭湯はコロナ禍で客が増えている説を提出しておきます。

※写真は本文とは関係ありません。

 

 

銭湯ブームの現実

 

vivanon_sentence前に「銭湯がブーム」って話を書きました。ブームと煽った方が便乗する人が増えるので、私もこの話を肯定的に書いてました。では、実際にどうだったのか。

今まで行かなかった人が行くようになったり、行く回数が増えた人たちもいるのですが、経営者たちに聞いても、「ブームなんてうちは関係ないよ」というつれない返事でした。

それでも、もともと客の多い一部の銭湯では、とくに土日に、これまで来ていなかった家族やグループが来るようになっていたようです。つつましやかなコロナ禍のレジャー。

つまりはきれいで、設備が充実していて、天然温泉だったり、露天風呂があったりするような銭湯です。休みの日のレジャーになり得る銭湯となると、こういうタイプになって、客が増えたのは、都内の銭湯10軒に1軒あるかないかといったところでしょう。

サウナについてはたしかにブームと言ってもよくて、サウナ設備やサービスが充実している銭湯はそちらの客を集めている可能性がありますが、これも10軒に1軒の銭湯とかなりまでかぶっていて、一方では、サウナがあっても故障したままになっている銭湯は多いものです。

 

 

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