松沢呉一のビバノン・ライフ

デスボイスの革命性[上]—ビョークが主張する音楽業界のセクシズムは存在するのか?[ボツ編1]-(松沢呉一)

ビョークが主張する音楽業界のセクシズムは存在するのか?」はもうちょっと続ける予定だったのですが、読む人が減ったため、途中で切り上げて、「アイドルって面白い」に移行しました。その結果、ボツにしたのがに何本かあって、ボツにしたことを忘れて、何度か未発表の回を踏まえたことを書いてました(例:「表はいつも通りだけど—YouTubeで見る脇毛[2]」「藤井隆のオネエ芸を批判する人たちへの反論(20年前の話を蒸し返す)—メキシコのホモフォビアと日本のホモフォビア[2]」)。

デスボイスは好きなのですが、メタル発祥のため、メタルに疎い私としては深く掘り下げることができず、この回もわざわざ出すほどの内容ではないのですが、これもボツ記事復活週間に出しておきます。声の技法と名称についても詳しくないので、歪んだ声は全部デスボイスってことで。

2017年初頭に書いたもので、それ以降の話は加えてません。アイドル・シーンのデスボイス導入もまだ始まっていなかったかと思います。時間が経ちすぎたので、何を書いているのかわかりにくいかと思いますが、「演歌やアイドルのジャケットにおける顔出し率は男女差がないのに、ロック系の顔出し率で、なぜああも男女差が出たのか」の理由を推測しつつ、女のデスボイスの魅力を語ったものです。

 

 

デスボイスの革命性

 

vivanon_sentenceジャケットの顔出し率についてジャンル別に見た時には、「ロック→アイドル→演歌」という順に高くなる。ラブソング率も同じです。

これは歌詞のわかりやすさの順番でもありましょう。演歌は言葉をはっきりと発音し、声が前に出てきます。テレビでもCDでもそう。多くの場合、テンポもゆったりですから、じいちゃん、ばあちゃんでも一度聴けば、だいたい意味はわかる。

ニューミュジック系J-POPとアイドルはさして変わらないと思いますが、演歌に比してテンポが速まり、英語も混じってきて、年寄が歌詞を聴き取るのはちょっと難しくなってくる。

これがロック系J-POPになると、歌詞の聴き取りが難しいだけではなくて、そもそも歌詞で何かを伝えようとはしていない。一部英語だったり、全編英語だったりしますし。

J-POPとは言われないロックジャンルになると、まったく聴き取れないものもあります。ハードコアパンクとかデスメタルとか。

メジャーで活動するバンドはほとんどいないでしょうけど、この辺のバンドから見えてくることがあります。男女数が不均衡です。最近のことはよく知らないですが、今でもバンドメンバーのうち、女子は1割いないでしょう。頭のおかしいフェミニストにバレると「男女同数にしろ」と騒ぎ出すので皆さん黙っていてください。

しかし、ちょっと面白い現象が起きています。デスボイスです(「ボイス」は「ボ」、「ヴォーカル」は「ヴォ」の不統一は気になるところですが、「デスボイス」はこれで表記が落ち着いてしまっているので、不統一のままでいきます)。このジャンルでは女性進出が目覚ましい。

女性ヴォーカルではこのバンドが一番人気があるのかな。スウェーデンのアーチ・エネミー。

 

 

 

メイクも目つきも身振りも完全に女王様。ムチさばきがうまそうです。身長がありそうだし、英語もできますから、明日からでも「ラ・シオラ」で働けます(「ラ・シオラ」は外国人客が多いため、英語が堪能な女王様歓迎)。

デスボイスの登場はロックにおいて革命です。

このことを説明していきます。

 

 

next_vivanon

(残り 889文字/全文: 2386文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ