松沢呉一のビバノン・ライフ

我が家に出張—性風俗ではよくある偶然[上]-[ビバノン循環湯 580] (松沢呉一)

これはボツにしたわけではないのですが、いつでも出せる状態にしてあったのに、「古い原稿はもういいか」というので放置してあったものです。ボツ復活週間の流れで出しておきます。2001年に「ナンバーワン・ギャル情報」に書いたものです。

 

 

地元で働けばどうしても知り合いに会う

 

vivanon_sentence『風俗ゼミナール』の「女の子編」に偶然の恐ろしさを書いた。奥様風俗嬢が、子供の幼稚園の運動会で、自分の客に会ってしまった、といった話だ。

その後聞いた偶然話を紹介しよう。

あるヘルスに、現役の保母さんがいた。酒井法子似のルックスで、性格も素直ないいコでしてね。風俗嬢というと、派手な格好をしたケバいのが多いと思いこんでいる人たちが彼女を見たら、「なんで君みたいなコが」と思わず言ってしまうことだろうが、やむにやまれぬ事情があるのだ。

彼女は実家を離れて東京の短大に進み、卒業後、関東のある都市で保母さんになった。ところが、父親が病気で倒れ、「帰って来い」と母親から矢の催促。彼女はこの地を離れたくなく、実家に帰って仕事があるかどうかもわからない。だったら、せめて入院費だけでも送金しようと思って、保母さんをやりつつ、ヘルスで働くことにした。

普通だったら、地元を避けて、ちょっと離れたところに働きに行くところだが、この街は周辺から孤立したところにポツンとあって、この街以外は県内に風俗店がない。昼間は保育園で働いている彼女は地元で働くしかない。

ところが、恐れていたことが起きた。

「保育園で預かっている子供のお父さんがお客さんで来たことがあるんですよ。でも、そんなに何度も顔を見ているわけじゃないから、似ているだけかもしれないと思ったらも、あっちから、“うちの子どもが通っている保育園の保母さんに君とそっくりなのがいる”って言ってきたんです」

「えっ! どうしたの?」

「“へえ”ってしらばっくれましたよ。だって、似てると思っただけみたいだから、バレてないでしょ」

「いやいや、それはカマをかけただけで、気づいたってことなんじゃないのかな」

「えっ! そうなんですか」

互いにビックリマーク連発の会話である。

この話を聞いた直後に、長らく働いていた店と保育園を突然辞めてしまった。これが原因なんじゃなくて、いよいよ父親の容態が悪化したらしいのである。結局私はこの一回しか彼女に会えず、辞めたことも店長からの電話で聞いた。このコとは「絶対にまた会おう」と約束していただけに涙が出るほど哀しかった。

この街には時々私は行っていて、この街のピンサロでは、入って二週間のコに、こんな話を聞いた。

「私の顔を見るなり、“あっ”って声を出した人がいるんですよ。よく見たら、中学の時の友達なんです。冷や汗が吹き出てきましたよ。ここで動揺しちゃいけないと思って、“どうかしましたか”って言ったら、“オレだよ、オレ”って。“人違いでしょ”ってわからないフリをして、そのままフェラしましたよ。ここって暗いから、あっちも自信がなくなったみたいなんだけど、出口まで送り出す時に、明るいところで顔が見えるじゃないですか。そしたら、“やっぱり、××ちゃんじゃないか”って。“違いますよ”って最後までしらばっくれました。そうするしかないじゃないですか」

でも、彼女はわりと特徴のある顔立ちなので、見間違えることはなさそうだ。

「もうみんなに言い触らされてるかもしれないですよねー」

あんまり気にしていないみたい。

彼女は地元出身だ。地元で働かざるを得ないと、どうしてもこういうことが起きる。

※George Schrimpf「Nude IX

 

 

自分の家に出張を命じられたデリヘル嬢

 

vivanon_sentence続く偶然話。

松山のデリヘル「ホットポイント」に立ち寄った時のこと。事務所には、顔もスタイルも性格もいい店長大プッシュの新人さんと、彼女の友人で、本日初出勤のコがいたのだが、その新人のコは働きだしたばかりなのに、部屋に着いてみたら、知っている男だったことがあるそうな。

「髪型が変わってたから全然気づかなくて、“いい男やな”と一瞬思ったら、元カレだった(笑)。“あんた、何やってんの”“おまえこそ何やってんだ”って互いにビックリですよ。全然会ってなかったから、今どこに住んでいるかも知らなくて、マンションの下に似た車があるなあ、と気づいたんやけど、まさかそんなことがあるとは思わないじゃないですか」

相手はいまさらチンコをくわえてもらうわけにはいかなかったようで、結局、チェンジされたそうだ。単純に照れくさいということもあるし、フェラが前よりうまくなっていたら、いろいろ考えてしまうだろうし。

そんなことを話していたら、店長はもっと驚く話を教えてくれた。

 

 

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