松沢呉一のビバノン・ライフ

「中国共産党肺炎」「中国共産党ウイルス」が最適か—「武漢肺炎」という言葉[4]-(松沢呉一)

「チャイニーズ」が孕んでいた言葉の二重性–「武漢肺炎」という言葉[3]」の続きです。このシリーズは一回目の前半と最終回の後半以外はボツ記事を復活させたもので、昨年の夏から秋にかけて書いたものです。

 

 

 

中国共産党ウイルス

 

vivanon_sentenceもしも「中国ウイルス」といった言葉に問題があるんだったら、「中国共産党ウイルス」にすればいいんじゃなかろうか。そうすれば、中国の国民全体を含む問題ではなく、中国共産党の問題であることがはっきりします。企業名を事件名にするのと同じ発想。

と思って検索したら、いっぱい使われてました。突き詰めていくとここに行き着きますわね。

以下はお馴染み香港の「蘋果日報」(アップルデイリー)2020年8月28日付の記事です。

 

 

 

ニューヨーク州にあるシラキュース大学のジョン・ズビエタ教授は学生向けのシラバスの中で、自身の用語として使ったのではなくて、「このようにも言われている」という意味で、「中国共産党ウイルス」という言葉を出しただけで停職になったという内容。

教授は休職扱いにされて、復職を求めており、教育の場での個人の権利を守る「FIRE」という団体が教授を支持する声明を出しています

 

 

 

 

教授はこれを中国国内で使用されている例として出したようです。すぐに削除されましょうが、掲示板レベルでは使われていそうです。

明らかに「中国共産党ウイルス」は中国共産党を批判する内容ですから、大学当局はもはや中国共産党の出先機関であり、たったこれだけの批判もできない。差別を助長するからではなく、中国共産党を批判するから避けなければならない言葉となってしまっているのです。「武漢肺炎」「武漢ウイルス」「中国ウイルス」もすべて同じです。中国共産党にとって不都合だから使ってはいけないだけ。差別とは無関係です。

そりゃ中国人留学生を受け入れて商売している大学や共同研究をやっている大学は中国批判を避けたいでしょう。差別だと騒いで中国に対する配慮をして金儲けを持続したい人々がそこかしこに湧いてます。要注意。

ここでもそうであるように、「アップルデイリー」は「武漢肺炎」を潰そうとする中国政府とその追従者を批判しています。

この言葉を使うなという人たちは香港や台湾のメディアは差別を助長していると考えるのか? 中国の民主化を求めることが差別の助長ってか? ウイルスの発生原因を探ることより、中国に媚びることがそうも大事か?

 

 

なぜ中国の官民一体化した差別には目をつぶれるのか

 

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どこからウイルスが拡散したのかを示す言葉が差別を助長するからやめるべきであるならば、武漢から発生したことを報じるのもやめるぺし。中国政府が隠蔽したことを批判することもやめるべし。その発生についての調査を中国に要求するもやめるべし。中国共産党を叩くのもやめるべし。これこそが中国の思惑です。中国共産党に尻尾を振るヤツらがそこに乗っています。

 

 

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