松沢呉一のビバノン・ライフ

海を越える再会—性風俗ではよくある偶然[下]-[ビバノン循環湯 581] (松沢呉一)

「我が家に出張—性風俗ではよくある偶然[上]」の続きです。

 

 

札幌にて

 

vivanon_sentence年に二回ほど札幌に行っているんだが、昨年の7月、札幌に行った時の話。

いつもの如くホテルを予約しないまま、夜、札幌に着いてから宿を探したのだが、どこも満室である。早くも避暑のための旅行客とゴルフ客で、週末はどこのホテルもいっぱいという情報はつかんでいたのだが、この日は木曜だし、これまでいつも使っているビジネスホテルが満室だったためしはないしで、楽観したのが失敗のもと。

そのホテルを含めて4軒のホテルに断られたところで、これ以上当てなく探し回っても無理だろうと判断して、ヘルス関係者に聞いたところ、「こんな時でもいつも空いている」というビジネスホテルを教えてくれた。ところが、そこも満室。

すっかり仲良くなった売春宿なら泊めてもらえるんだが、ここはエアコンがないため、札幌と言えども夏はきつく、できれば避けたい。

そこで、別の知り合いに電話をしたところ、最近できたばかりの「遊悠館」というホテルを教えてくれた。東京にもたまにあるが、一見そうは見えないラブホである。ビジネスや観光目的の人も利用しているとのことで、カップルだけではないんだが、半数以上はラブホとして使用しているのだ。昼間は3時間単位の休憩利用で、夜の10時から泊まりである。10時以降のチェックインだと7千円台の部屋もあるから、ビジネスホテルと値段は変わらない。

ここに泊まることにしたのだが、当然、ベッドも風呂も広くて快適である。狭いビジネスホテルに泊まるくらいならラブホの方がいいのだが、ラブホの難点は、通常、出入りが自由にできないこと。しかし、ここは出入りも自由。

普通のホテルのように、フロントもちゃんとあって、FAXも送れるから何の問題もない。フロントにいる従業員の女の子たちがまたかわいくてね。たいていラブホのフロントはおばちゃんで、しかも顔が見えなくなっているのに、ここでは彼女らがニコッと笑って出迎えてくれ、気さくに話しかけてくる。とうていラブホテルとは思えない接客ぶりで、普通のホテルだって、ああも人懐っこく話しかけてはこないだろう。

私はこのホテルを気に入ったんだが、ラブホとして利用するカップルは、気恥ずかしいかもしれない。あの子たちだと、いつもと違う女を連れているのに、「毎度ありがとうございます」って言いそうだし。

このあと、このホテルを経営している会社の人と話をする機会があって、そのことを言ったら、案の定、おじさん連中には受けがよく、若いカップルには不評とのことで、「ごゆっくりどうぞー」と明るく言われると、おちょくられているような気がするとアンケートに書いてあったそうで、最近は、相手を見て接客を変えさせているとこのとだ。

※Ernst Ludwig Kirchner「Nude Dancer

 

 

風俗利用OKのビジネスホテル

 

vivanon_sentenceこのホテルは、昼間も続けて借りると値段が高くなってしまうため、翌朝、ホテルを探し、東急インに空室を発見して移動。ホテトルやデリヘルを利用することは滅多にないんだが、ホテルに泊まる時は必ず出入りしやすいかどうかをチェックする癖がついていて、このホテルはナンボでも外から入れることを確認。ススキノの交差点のすぐ近くにあって、立地もいい。ホテトルやデリヘルの事務所はまず間違いなくススキノ周辺のマンションにありそうなんで、ここなら女の子らが徒歩でも移動できる。

案の定、エレベーターに乗るたびに、単独の女性と一緒になる。その風体が商用でも観光客でもないため、鼻の利く私はピンと来る。手にもっているのも小さいバッグひとつだ。観光の場合はあまり女性単独での行動はしないだろう。私が「仕事だな」と目をつけたコらは、全員、フロントに鍵を預けずに出口に直行していたから、まず間違いない。

おデブな子が多かったんだが、昼間、エレベーターに乗り込んだら、スリムで、かわいいのが乗っていて、目が合ったら、ニコっと笑いかけてきて、ドキドキしてしまった。

 

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