松沢呉一のビバノン・ライフ

日和る・ヤバみ・フライヤー・おでんのす—若者が知らない言葉・中高年が知らない言葉-(松沢呉一)

若い世代に通じない言葉—世代で変化する言葉[上]」の続編みたいなものです。昨年書いてあったのですが、あんまり面白くないかと放置していました。「ボツ復活週間」のどさくさで出しておきます。

 

 

次々と発見される「日和る」

 

vivanon_sentence若い世代に通じない言葉—世代で変化する言葉[上]」で、「若い世代に通じにくい言葉」の例として「ひしゃげる」という言葉を挙げました。

それをテレビの特派員が使っていて、テロップでは直されていたという話を「真夏にマスクをしていると熱中症になるリスクが高まることを身をもって体験—マスクよりもフェイスシールド[14]」で報告しました。やはり通じにくい世代がいることを踏まえてのことでしょうし、テロップ担当はたいてい若造なので、「こんな言葉使わねえよ」と自身が思ったのかもしれない。

もうひとつ注目した言葉があります。

 

 

 

モノマネはもちろん面白いのですけど、このシーン。

 

 

 

テレビでやっていいこと・悪いこと—少しも話題にならなかった「おもいッきりテレビ」のやらせ告発(の予告編)」では「ひよる」という言葉を使ったら、20代に「意味がわからない」と言われた話を書いています。この時の相手は大学生で、当時まだ10代だったかもしれない。

 

——goo辞書より

 

また、YouTubeでしずるのコントを観ていたら、「ナニ日和ってんだ」「日和ってねえ」というやりとりが出てきました。

 

 

私、しずるが好きなものですから、たいていの動画は観てます。

オシラさんもしずるも、「尻込みする」「萎縮する」「弱気になる」「ビビる」みたいな意味で、私らが若い頃もこういう用法がありました。というより、こういう用法がメインだったかと思いますけど、もともとは辞書の例文にあるように、「日和って体制側につく」といったように、政治的な姿勢を指す言葉だったと記憶します。学生運動用語、左翼用語であり、「あいつは革命運動をやめて就職活動をやるってよ」「日和りやがったか」みたいな使い方。

20代になると使わないのが増えていくのか、地域やつきあう友だちにもよるのかは今後の研究が待たれます。

 

 

「スタバる」は使えても「ヤバみ」は使えない

 

vivanon_sentence歳をとるとともに、自分が馴染んできた言葉が若い世代に通じない体験をしますが、若者が知らない言葉を使っているのを聞くことも増えてきます。

たとえば「スタバる」のように、「名詞(体言)+る」は私らの世代でもありましたから、違和感はない。「オルグる」とか。また学生運動用語。とくに「スタバる」は「スタンバる」にも近いですから、私も使いこなすことは容易。

でも、「ヤバみ」「わかりみ」のように「み」をつける言葉は法則性がよくわからず、使い方もよくわからないので、無理して使うとミスります。

 

 

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