松沢呉一のビバノン・ライフ

リアリティが必要だが、リアリティがあればいいってものではない—興奮する職業・しない職業[下]-[ビバノン循環湯 586] (松沢呉一)

元美容師の風俗嬢が多い理由—興奮する職業・しない職業[上]」の続きです。

 

 

理容院風風俗店

 

vivanon_sentence以前、歌舞伎町に「CHIC」というエステがあった。ここは理容院に模してあり、ヒゲを剃ってくれたり、顔のマッサージをしてくれたりして、最後にチンコのマッサージもしてくれる。男としては髪の毛を切りに行った時に女の理容師の胸が体に触れるなどして興奮することがあって、その経験から、この設定自体、性的興奮をかきたてる日常性がある。しかし、元美容師、現役美容師という肩書きだけでは、男にとっては日常性がなく、性的興奮をかきたてないようで、間もなくこの店は潰れた。

知人に聞いたところによると、「教師専門店」と銘打ったホテトルがあったらしい。小学校、中学校で、誰しも女の先生に憧れた経験があるため、これも欲望を刺激する。あるいは、自分の子供の担任教師に欲望を抱くお父さんもいそうだ。そうじゃなくても、教師という職業は、男の教師が風俗店の常連であったりするように、「見た目は真面目なのに、一皮むくと…」という側面があって、女教師はそれ自体、妄想をかきたてることころがある。

そんな職業に対する性的な欲望を改めて考えることがあった。ある日の夕方のこと。急にマンコがなめたくなって、馴染みの風俗嬢たちに電話した。誰でもいいようなものだが、どこか適当な店に入ってマンコをなめたくないタイプの女が出てきたら目も当てられない。どうしてもナメたい時は馴染みのコに会う方が確実なのだ。

池袋のイメクラ「秘書物語」の春美ちゃんにメールしたら、「これから出勤するところだよ」とのこと。ラッキー。店に予約を入れて、池袋に向かった。

彼女とは5年くらいのつきあいになる。つきあいと言っても店の中だけのつきあいである。引退して以降もつきあいが続いていたり、客としてはいかなくなってダチとしてのつきあいが続いているのではもっと長いのもいるが、現役で風俗嬢をやっていて、なおかつ今も客で行くことがある相手としては、もっとも古いつきあいのコかもしれない。

Flight Attendants Past and Present 着色しました

 

 

秒速クンニ

 

vivanon_sentence「秘書物語」はエロ社長と秘書という設定の店なので、女のコが社長室に入ってくると、「本日のダウ平均株価は××」なんて形ばかりの報告をする。

しかし、私は彼女が部屋に入ってきて報告を始めるや否や、「んなことはどうでもいい」と十秒足らずのうちにパンツを脱がしてクンニした。 「ダメですよ、社長」などと言いながらも、 ナメられるのが大好きな彼女は、すぐに「アアーン、気持ちいい」と大きな声を出し始めた。ディアマンダ・ギャラスのヴォーカリゼーションをもっとかわいらしくしたような絶叫を繰り返し(わかる人だけわかってください)、三度目にイク時は「オマンコが気持ちいい〜、オマンコ、イッちゃう〜」と叫んでいた。

彼女の声がデカくて激しいのは、いつものことではあるのだが、彼女がこうも「オマンコ」を連呼するのは初めて聞いたかもしれない。それにしても、イクのはオマンコなんだっけか。「オマンコがイク」のか「オマンコでイク」のか、どっちだろう。

「だって、今日は出勤したばかりだったからら、いつもより感じちゃったよ」

「そうか、出勤してすぐに会いに来たことがこれまでなかったかもしれないな」

彼女は週に2日くらいしか出勤してないため、間があいていたことも関係しているのだろう。

「私が感じやすいだけじゃなくて、松沢さん、おかしいよ。エロオヤジ度がどんどん強まってる。せっかく人が株価を報告しているのに、“そんなことはどうでもいい”ってお客さんはいないよ。一応みんな報告を聞いてくれるのに、すぐにナメるんだもん」

「うん、今日は会ってから何秒でクンニできるか試してみた。5秒くらいかかったかな。世界で一番クンニするのが早い男の座を狙っているので、5秒じゃまだ遅いかもしれないな」

「じゃあ、今度はパンツをはかないでおくね」

なんのかんの言いながら、協力的な春美ちゃんである。

piano taecher 着色しました

 

 

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