松沢呉一のビバノン・ライフ

女王様のタトゥ率・CAM4のタトゥ率—タトゥの男女差[2]-(松沢呉一)

女王様にはレズビアンとタトゥが多い—タトゥの男女差[1]」の続きです。

7月22日のパンディットの銭湯イベントとどこがどうしてつながっているのかまだわからんでしょうけど、もうじきわかります。なお、もう少し席はあるそうですので、ご予約はお早めに。

 

 

 

女王様のタトゥ率の高さはどこから生じるか

 

vivanon_sentence前回のマーヤ女王様の話はさまざまなことを物語ります。一人だけの話では心もとないですし、一方でメンヘラとタトゥの関係もあるのですが、現に女王様にはタトゥを入れているのが多い事実から考えて、タトゥを入れる決断はその人の生き様に関わってくることは間違いない。

雑誌やインターネットで顔まで出している人に限れば、また、小さなものまで含めれば、女王様のタトゥ率は2割から3割に達しそうです。なぜそうも入れるのかと言えば、「入れたいから」です。広く一般にも入れたい人はそのくらいいるのかもしれないけれど、それを決断させない壁があります。

たとえば「入れると会社を解雇されかねない」「親が反対する」「男の選択が狭まる」など。

キャバクラやヘルスでも嫌う店、嫌う客は多そうです。

その点、女王様の場合はタトゥが入っていることで店が嫌がる、客が嫌がるなんてことはほとんどない。レズビアンであることがマイナスにならないのと同じです。

むしろタトゥを「強そうでカッコいい」と好むM男さんも多いでしょう。その図柄に対する評価だけでなく、この社会で敬遠されがちなタトゥを入れていることが「超然としている」「強い意思を持っている」という評価になります。

日本でもそうだったように罪人にタトゥを入れる。ナチスの強制収容所では収容者に入れる。今でも日本では極道が入れる。タトゥは「社会から外れている」という評価を伴うわけですが、それを乗り越えて「外れていて何がいけない」というスタンスになり、自分の体を自分で支配しているというイメージも醸しだされます。

これが女王様におけるタトゥ率の高さを作り出しています。レズビアンでもタトゥを入れているのは平均値より多いかもしれないですが、この社会でうまいことやっていこうとする人たちは入れたい思ってもタトゥを入れない。

February 1947: Three Jewish refugees show their tattoos from Nazi concentration camps. Miss P Frankel, left, Mrs K Frankel and Mrs D Zillberg are planning to settle into their new lives with relatives in Elwood. 

 

 

女王様の脇毛率

 

vivanon_sentenceタトゥほど多くはないですが、女王様には脇毛を伸ばしているのも時々います。タトゥよりずっと少ないですが、社会一般より確実に多い。嫌うM男さんもいるでしょうけど、好きな人もいますから、大きなマイナスにはなりません。男に嫌われるなんてことも考えない。

そういえぱ脇毛YouTuberの長ねぎさんもレズビアンです。レズビアンも女王様も社会の規範からはみだしているから自由なのです。

しかし、タトゥを入れたいのに入れられない条件は男だって同じはず。「入れると会社を解雇されかねない」「親が反対する」「女の選択が狭まる」と言えます。

タトゥが入っていても問題のない肉体労働や職人系の仕事に従事しているのは男が多いとも言えますが、料亭や寿司屋などは別にして、飲食店の料理人や店員で見えるところにタトゥの入っている男もいて、女でもタトゥが入っていても問題はないはず。事実、食い物屋の女子店員で稀に入っているのを見かけます。居酒屋にもいます。

服屋でも高円寺の古着屋だったら問題がない。美容師でも客層によっては問題がないでしょう。

 

 

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