DW(ドイッチェ・ヴェレ)の記者が中国の市民グループに恫喝された—脳内地図を修正する試み[1]-(松沢呉一)
「疑問の余地がない中国国営テレビの差別表現—Die Antwoordのブラックフェイスと中国のブラックフェイス[下]」からゆるく続いてます。
ドイツDW(ドイッチェ・ヴェレ)の記者が河南州で恫喝された件
昨日はこの記事に注目しました。
2021年7月27日付「中央日報」日本語版
韓国「中央日報」は、日本のメディアが取り上げない中国ネタを積極的に取り上げているので、よく読んでます。「COVID-19は武漢ウイルス研究所から漏れた説」も詳細に報じていて、この記事もこれに少し関わるトラブルです。
本命はBBCの記者
ドイツDWのマティアス・ベーリンガー記者が、洪水被害のひどかった河南省鄭州市で取材をしていたところ、何人かの中国人に囲まれて威嚇されたという内容。
これはBBCのロビン・ブラント記者と間違われたというオチです。中国政府は中国CGTNの放送免許を取り消した英国を相当に恨んでいて、その流れで武漢ウイルス研究所から漏れた説を報じたBBCを敵視し、その中国特派員であるロビン・ブライト氏がとくに狙われていて、中国共産党系の組織がロビン・ブライトの名前と写真をばらまいており、指名手配状態になっています。
この現場でも、スマホでロビン・ブラント記者の写真と照合したとあって、これは「指名手配」の写真だろうと思われます。
「もしロビン・ブライト本人だったら何が起きたかわからない」とマティアス・ベーリンガー記者は言っており、腕をつかまれているのが確認できるので、あの様子だと袋叩きにされた可能性もありそうです。
以下はDWの記事。
2021年7月27日付「DW」
この記事にあるように、今回に限らず、また、BBCに限らず、国外メディアはしばしば「市民」による妨害、嫌がらせを受けているとのことです。自警団的組織、おそらくは共産党関係の組織が関与していそうですが、根拠が見つからないので、一般市民ということにしておきます。中国にはあらゆるところにこういう連中がいるってことです。
パーフェクトな中国に事実はいらない
では、中国メディアも見てみましょう。
2012年7月25日付「観察者」
画面が真っ黒なのは、古いパソコンでは、埋め込みの動画が観られないためであって他意はありません。
この記事では平和的なやりとりだけが進行しているように扱われていて、これは意図的なのか、この段階では恫喝と言えるやりとりが公開されていなかったためなのかは不明。
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