松沢呉一のビバノン・ライフ

オリンピックの亡命競技に注目する—脳内地図を修正する試み[7]-(松沢呉一)

河南省の洪水死亡者が3倍に増えた不思議と中国で洪水が連発する背景—脳内地図を修正する試み[6]」の続きです。

 

 

 

オリンピック亡命競技でクリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手が勝利

 

vivanon_sentenceオリンピックに賛成も反対もなく、無関心でいるわけですけど、亡命競技には関心があります。

 

 

 

 

「チマノウスカヤ」となってますが、これまで「クリスツィナ・ツィマノウスカヤ」という表記を使っているメディアが一般的なので、そちらに合わせます。

字幕が「ロシアのテレビ」となっているのは間違い。「ベラルーシのテレビ」です。亡命決定してからルカシェンコ大統領もベラルーシのテレビ局も、彼女の亡命を「売名行為」と言ってます。ゲス。

事前に少しは計画していたのかとも思ったのですが、なかったみたいっすね。夫も慌ててポーランドに脱出して、無事合流。ばあちゃんがあんな電話をしたことをばらすと、ばあちゃんが捕まったりしないかと心配になりますが、ナチスドイツやウイグルのように家族が制裁されるってことまではないのかな。

突然の決断だったとは言え、彼女が「投獄されるかもしれないと思った」と語っているのは伏線があって、昨年来、アスリートたちでも民主化運動に関わって逮捕されたのがいるんですってね。

日本から直接ポーランドに行かず、迂回したのは、命を狙われることを恐れてのことだそうです。ウクライナに脱出して、ベラルーシからの亡命者支援を続けていた人物が、ほんの数日前に自殺に見せかけて殺されたみたいですしね。ベラルーシは怖い。

ツィマノウスカヤ選手も、ポーランドに亡命したところで気を抜けないし、ポーランド自体、民主主義から後退していますけど、ベラルーシよりはまし。

ベラルーシであれだけのプロテストがあったのに、結局少しも前に進んでいないのが悲しい。

もうひとつ悲しいのは、日本は亡命の受け入れがスムーズではないため、すぐれた陸上選手をゲットする絶好のチャンスを生かせなかったことです。ウガンダのセキトレコ(セチトレコ)選手も。オリンピック選手に選ばれるくらいの実力あるアスリートは無条件に日本が受け入れるようにすればメダルはもっと増えます。

 

 

ロシアのアスリートも受け入れたい

 

vivanon_sentence「BBCの報道によると」という形で取り上げられているのですが、日本語版BBCには転載されていない記事です。

 

2021年8月5日付「BBC

 

 

今回の東京オリンピックではLGBTであることを公言している選手が複数いることに対して、ロシアのテレビが繰り返し中傷するテレビ番組をやっているという内容。ゲス。

 

 

next_vivanon

(残り 1643文字/全文: 2831文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ