松沢呉一のビバノン・ライフ

国交断絶をもたらしたアルジェリアの山火事とドイツの総選挙を左右する環境問題—政治家による学歴詐称[上]-(松沢呉一)

 

 

アルジェリアの山火事はモロッコとの国交まで焼きつくす

 

vivanon_sentenceついには山火事がアルジェリアとモロッコの国交断絶をもたらしました。

 

2021年8月26日付「NHK NEWS WEB

 

積年の対立がある上に、アルジェリア国内の独立派をモロッコが支援していることに原因があるのですが、以下に注目。

 

具体的には、モロッコの情報機関がアルジェリアの当局者らに対しスマートフォンから情報を盗み出すことができるスパイウエアを使用したことや、アルジェリア北部の山火事にモロッコが関与したことなどが理由だとしています。

 

アルジェリア当局は当初から多数の山火事が同時多発したことから、放火を疑っていましたが、高温と乾燥という条件は広く共通するため、どこの国でも山火事は同時多発していて、濡れ衣だと思われます。

ただ、そういうことが絶対にないとも言えず、なんらかの証拠をアルジェリア政府はつかんでいるのかも。山火事は対立する国を困窮させ、国民の間に不安を広げる確実な方法になってます。ちょっと火をつければあとは勝手に燃え広がってくれますから、ゲリラ戦にもってこい。

それを防ぐためには森林を伐採してしまえばいい。洪水が起きるかもしれないけれど、これはゲリラ組織が人為的に起こせるものではないので、その分、安心。どんどん地球環境は悪化していきます。

遠からず、水や食糧確保のための紛争が各地で勃発すると予想してましたが、こんな形で始まりましたか。

 

 

ドイツ緑の党の支持が急上昇したのだが…

 

vivanon_sentenceもはや気候変動は政治を動かすことにもなってきていて、国と国の対立も激化させていきます。ここを押さえておかないと、未来予測もできない。

国外のニュースサイトを見ていると、「コロナウイルス」「政治」「ビジネス」「スポーツ」「カルチャー」などと並んで「気候変動」「温暖化」といったカテゴリーがよくあります。日本でもあるかもしれないけれど、あるとしても少ないでしょう。

ここに出したのは「南ドイツ新聞のサイトで、気候変動(Klimawandel)というカテゴリーがあります。

ドイツでは、来月、連邦議会選挙です。これでメルケルの後釜が決定。

コロナ禍の始まりにおいてはメルケル人気が高く、それに伴い、キリスト教民主同盟(CDU)の支持率も上がっていたのですが、コロナ規制が長引いたことの反発もあって、すでに支持率は低下していて、コロナ禍以前に戻ってます。

ここで伸びてきていたのは緑の党です。この4月に党首のアンナレーナ・ベアボックが緑の党の首相候補に決定し、40歳の若い女性、しかも初の環境派の首相が誕生かと目されていたのですが、首相候補ということで経歴の洗い直しがなされて、詐称が発覚。

 

 

next_vivanon

(残り 1154文字/全文: 2329文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ