松沢呉一のビバノン・ライフ

COVID-19の起源についての米レポートとカドミウム汚染米レポート-(松沢呉一)

 

 

ODNIによるCOVID-19の起源についての報告書

 

vivanon_sentence米情報機関ODNIによるCOVID-19の起源についての報告書のサマリーが公表されました。

 

 

 

 

プリントしてもB51枚に収まる程度の短い文書で、これをさらに要約すると、「データが足りず、わかりませんでした」ってことです。おそらくこれを入手していたのだと思うのですが、事前に一部メディアが報じていた通り、結論は先送りにした内容です。

調査したと言っても、米国の情報機関の意見をまとめたものであり、生物兵器説や研究所漏洩説を否定する機関がありつつ、「判断不能」としている機関もあって、事前に出ていた「遺伝子データ入手」という情報はまったく反映されていません。ガセだったのか、よくよく調べてみたらたいした情報ではなかったのか、今なお検討をし続けているのかも不明。

どうせ中国はデータを出すことはないでしょうし、中国のあの体制下で内部告発が出ることも期待できないので、このまま情況証拠が積み重ねられても、「疑惑」として継続される雲行きです。小池百合子の「学歴詐称疑惑」と並ぶ「長寿の疑惑」化か。

 

 

中国のカドミウム汚染

 

vivanon_sentence

中国がここまで疑われるのは当然であって、「ビバノン」でも見てきたように、HIVでもSARSでも隠蔽を図ってきた過去がありますし、新型コロナでもそうでした。

災害の死亡者についても限りなく怪しい。鄭州市の洪水で数千人が亡くなったという説をそのままは信用できないですが、それ以上に当局の数字も信用できない。それを取材しようとすると、拘束したり、妨害したり、脅迫したりしてくるんですから、ごまかしているんだろうと疑われるのは当然です。

中国共産党は嘘とごまかしでできていることを信じない人は、調べたことがないんでしょう。何を調べていても嘘とごまかしとぶつかります。

昨日もぶつかりました。

東京オリンピックで、韓国選手団は福島産の食材を使っているというので、選手村の食堂を使わず、自前の料理人を連れてきたんだべ。好きにすればいいべさ。

日本にも中国産は農薬だらけで危険だというので買わない人がおりますわね。好きにすればいいべ。

一部の抜き取り検査でしかないので、輸入品の検査体制をすり抜けるものもありましょうけど、毎日中国産ばかり食うんだったら別として、いろんな国の食材の中に中国産が混じるだけなんだから、仮に農薬が残留していたところで私はまるで気にしない。

しかし、「河南省の洪水死亡者が3倍に増えた不思議と中国で洪水が連発する背景—脳内地図を修正する試み[6]」に書いたように、仏語版Wikipediaの「中国の環境」(Environnement en China)に米がカドミウム汚染されているという記述があって、「これはまずい」と思いました。中国人の立場になって「まずい」と。

米は毎日食うし、同じものを多量に食い続けます。カドミウムについては日本人には苦い記憶があるのでとくに敏感です。

ざっと調べましたが、中国人全体の平均摂取量で言えば問題なし。しかし、あくまで平均値であり、特定地域の米は危険です。

2013年の「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」によると、米の産地である広州市の米は4割以上が基準値超えと市当局が発表(18サンプル中8サンプル)。それ自体まずい上に、基準値があってもまるで機能していないことが明らかになったわけです。

この頃から、中国人観光客が日本で米を買っていくことが話題になってました。米については高くついてもそうしたくなりましょうよ。通販で日本から取り寄せている人も多いそうです。

※2013年5月18日付「SCMP

 

 

next_vivanon

(残り 1627文字/全文: 3192文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ