松沢呉一のビバノン・ライフ

ベトナムの犬食事情から考えてもアジアン・ペット・レスキュー・センターは寄付金集めのインチキ—無思慮な寄付は悪人を生み、動物虐待を加速する-(松沢呉一)

 

ベトナムの犬食事情をダメ押しする

 

vivanon_sentenceそんなに興味があるわけではないので、「なんで私が「アニマル・レスキュー動画に気をつけろ」なんて言わなければならんのかと思いつつ言っておく」は、ベトナムの犬食事情までは調べずに書いたのですが、いざ公開してから気になってきて、あれを出した翌日、ベトナム人留学生のいるコンビニに行きました。「ベトナムではあんな状態の犬をバイクで運んでいる人たちを頻繁に見かけるのかどうか」を聞こうと思いまして。

しかし、前に同じ曜日の同じ時間帯にいたはずのベトナム人はおらず。シフトが安定しないバイトと再会するのは難しい。

家に帰ってから検索したら、ベトナムの犬食について書かれたものがいっぱい出てました。最初から検索すればよかった。

とくに2019年8月30日付け「The Asahi Shinbun GLOBE」掲載「ハノイの犬食に未来はあるか?」が参考になります。

この記事をまとめると、南部でも食うけれど、犬食排除が強まっていて、今も北部の方が犬食が盛ん(ホーチミン市は北部)。

しかし、ベトナムでは食用犬を育てることは違法。小規模にこっそり育てているか、飼い犬を大量にかっぱらってきて店に卸している業者がいる。犬のかっぱらいももちろん違法。殺すのは店で、そこで調理したものを客に出している。

はっきりとはわからないですが、生きた犬を買ってきて、家で殺すようなことはないもよう。

また、ベトナムでも動物の虐待は禁じられているので、もし体を縛ってバイクで運んでいるところを見つけたら、警察に通報すればいい。そもそもあの映像のおばちゃんは殺して食おうとしているのでなく、かっぱらってきたところかもしれない(てか、ヤラセですけど)。盗人の盗品に金出してどうするよ。行政もこの問題に積極的になってきているので、無視はしないのではなかろうか。

この記事を読んで、「インチキ動画を出しているような連中こそ、一方で犬をかっぱらってきて販売しているんとちゃうんか」と疑いました。ああいう連中は金になればなんでもするし、犬は扱い慣れていて、ヤラセ用の犬も入手しやすい。いくら寄付したって、あれらの犬は食べられている可能性がありそうです。

アジアン・ペット・レスキュー・センター(Asian Pet Rescue Center)はインチキであることは確定しているので、蛇足ではありますが、以上、念のため。

 

 

どうせならまともな団体に金を出せ

 

vivanon_sentenceベトナムでも犬食に反対している人たちはいて、愛護団体もありますが、買い取るようなことはしていないでしょう。

この記事に出てくるソイ・ドッグ・ファンデーションは2003年にタイのプーケットで設立されたNGOで、20年近く活動しているだけにサイトもあり、しっかりしていそうです。

 

 

 

 

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