松沢呉一のビバノン・ライフ

ケニアでは5歳以下の死亡率は日本の19倍高く、平均寿命は18歳短い—見えにくい現実を見る-(松沢呉一)

チェカTVとマゴソスクール—その地で支援することと遠くから支援すること」の続きです。

 

 

 

チェカTVの意義

 

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チェカTVが毎回数万から数百万の人々に観られていることの意義は計り知れない。

今までだったらケニアのニュースが流れて来ても興味を抱けなかったのに、クリックする人が増えます。ニーズがないので、そもそも日本ではケニアのニュースは流れにくいですが、BBCの日本語版が「ナイロビのスラムで、強制撤去に反対する人々が暴徒化し、死傷者多数」と報じたら、チェカTVで見た風景や顔が浮かんできて、心配になりましょう。

こうしてクリックする人が増えると、ケニアのニュースは報道されやすくなります。顔が見えるのはかくも大事なことです。

東アジアを除いて、在日外国人でもっとも多いのはベトナム人で、30万人以上。「ビバノン」にたびたび登場するネパール人は10万人弱。

アフリカ勢でもっとも多いのはナイジェリア人ですが、3千人に満たない。アフリカすべてを合わせても1万人には届かないでしょう。

数は少ないけれど、東京都内で言えば四ツ木や歌舞伎町にアフリカ人はいっぱいいますし、工事現場や建設現場でも見かけることがあります。そういう人たちの存在も少し身近になって、話してみようって気になる人もいるでしょう。

YouTubeは素晴らしい。

Googleストリートビューより。中には入れないですが、表通りまでストリートビューで行けます。この向こう側がスラム。

 

 

予想されていたことが起きている

 

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アフリカ全体への関心と理解も進みましょう。

以下はナイジェリアのニュース。

 

 

去年の3月に危惧していた通りのことが起きています。新型コロナよりもコレラの死亡率が高いだけでなく、死んでいるのは若年層です。先進国であればそう簡単には死なないコレラでそれだけ死ぬのは治療が受けられないこと、薬を買えないこと、失業率が高まったことによって食事も十分にとれず、抵抗力がなくて、発症率、重症率が高まっていることが背景にありそうです。コロナ対策で殺されたようなものです。

これはことナイジェリアだけではないし、コレラだけでもない。HIV、マラリア、結核などの感染症も同じ。

アフリカでの新型コロナへの過度の対策に反対している専門家もいたのに、それを強行したことの必然的結果です。WHOは責任とれ。

そもそもアフリカ諸国では人が次々死んでいく。ケニアの5歳以下の千人当たりの死亡率は40人。0.5パーセントが5歳までに死ぬ。平均寿命は67.47歳。日本は5歳以下の死亡率は2.2人。平均寿命は85.03歳。前に書いたように、アフリカではもっとも死にやすい層はもう死んでいるのです。

これは国全体の数字ですから、スラムに限って言えばもっと死ぬ。栄養が足りないので病気になりやすい。病気になったら治せない。

アフリカでは感染症が深刻で、スラムの環境では、水からの感染も多いでしょう。5歳までの死亡率は1パーセントを超えるかもしれず、平均寿命は60歳くらいかもしれない。だから老人の姿をあまり見ないのです。

※「worldometers」より2020年現在のケニアの5歳以下の千人当たりの死亡者数(上)と平均寿命(下)

 

 

スラムの現実

 

vivanon_sentenceこういうところまではチェカTVでは見えてこないですが、早川千晶さんのYouTubeやマゴソスクールのサイトからはその一端が見えてきます。

チェカTVは企画性が高く、ユーキさんや従業員たちのキャラも立っていて、食い物ネタが多く、涙あり笑いあり感動ありですから、人気があるのは当然。早川千晶さんのところはそこまでの娯楽性はないのだけれども、チェカTVではわからないことを教えられることが多いです。

 

 

 

 

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