アフリカで新型コロナのワクチン接種率が3パーセント程度に留まっている理由—新型コロナはコレラに比べればインフルエンザと大差ない-(松沢呉一)
今回はケニアとは直接関係はないです。
アフリカで新型コロナワクチンの接種率が低い理由
ちょっと前にナイジェリアでコレラが大流行している話を書きました。あれもまた背景にあるのは洪水です。ナイジェリアに比べれば数は少ないですが、ニジェールでもコレラが拡大。ナイジェリアは感染者が7万人以上、ニジェールは約5千人で、どちらも死亡率は3パーセント、新型コロナを上回っている上に、死んでいるのはおもに若年層です。
このことを踏まえると、以下の記事がよりよく理解できます。
2021年9月25日付「読売新聞オンライン」
この記事は目からウロコでした。
日本のメディアによる国外記事は、どっかのメディアを引き写しただけの二番煎じが多いので、これもそうかと思って検索したのですが、この記事は読売新聞のスクープかもしれない。しかし、内容はおおむね8月下旬のもので、「なんで今頃」って感もあります。
私もそう思ってきたのですが、ワクチン・アパルトヘイトによって、アフリカにはワクチンが回らず、回ってくるとしても中国製で、国民の不信が強く、いっこうにワクチン接種がアフリカでは進まないって話だと思っていたら、現実にはコンゴ民主共和国でアストラゼネカ製のワクチンを用意していても誰も接種に来ないため、4月にワクチンを送り返していたのだと。
「SNSなどでアストラゼネカ製は危険という根拠のない風評が広がり、ワクチンを希望する人がいないのです」と現場責任者が言っていますが、以下が最大の理由っぽい。
コンゴは、エボラ出血熱、マラリア、コレラなど多くの感染症に直面する。世界保健機関(WHO)コンゴ事務所で公衆衛生を担当するジェルベ・テンゴモ医師は「感染すれば多くの死者が出るエボラなどと異なり、新型コロナは危険性を実感しづらい部分がある」と語った。エボラが流行した2018年にはワクチン接種希望者が殺到したという。
つまり、新型コロナは他の数々の感染症に比べればとるに足らないってことです。そりゃ、エボラ出血熱やマラリア、コレラ、 HIVの方が放置すればずっと死亡率は高いですから。ワクチンに対する不信感があるのだとしても、死の恐怖はそれを上回って、エボラ出血熱のワクチンだったら接種する。
地域によって感染症の流行りは違いますが、これはアフリカ全体に言えそうです。「新型コロナってインフルエンザと変わらんじゃろ」と。
ウガンダでは新型コロナのワクチン接種を中止してコレラワクチンを優先
以下の記事はアフリカにおける新型コロナの位置づけをよく見せてくれ、読売新聞の記述を裏付けます。
2021年9月27日付「THE INDEPENDENT UGANDA」
ウガンダで、コレラのワクチン接種が始まって、新型コロナのワクチンが中止されたという内容。接種する人員や場所などのこともあるのでしょうけど、同時にふたつのワクチンを接種すると、副作用が出る可能性があるためと書かれています。なんにせよ、コレラワクチンの方が重要。
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