松沢呉一のビバノン・ライフ

禁煙サイトを見るとタバコを無性に吸いたくなる仕組み—禁煙するなら「ビバノン」を読んだ方が効果的-(松沢呉一)

発作的に禁煙しました—ある種の人々にとって絶大な効果のある禁煙法を実践した[上]」「禁煙してからタバコの値上げに怒った—ある種の人々にとって絶大な効果のある禁煙法を実践した[下]」の続きです。この2回で終わる予定だったのですが、どうしても書いておきたいことが出てきました。

 

 

 

禁煙する場合に禁煙サイトを見るのは禁物

 

vivanon_sentence昨日で禁煙5日目を終了。昨日は外出しても、タバコの文字が気にならなくなり、喫煙所を見かけるとどうしても立ち寄って、知らん人の吸うタバコの煙を無断で相伴させていただくこともなくなりました。知り合いだと、「1本どうぞ」と言われてしまって誘惑に負けそうですが、知らない人だと安心ですので、またやると思いますが。

今でも「タバコ農家からもらった種を庭に撒いたら立派に育った。製品にすると法に触れるけど、いるならあげるよ」と言われたらもらいます。そのあとどうするかは秘密です。

また、「気持ちがよくなって時間の感覚がなくなり、音が鮮明に聴こえるタバコはいらない?」と言われてももらいますけど、一人でいる限り、「タバコが吸いたくて吸いたくてしょうがない」という状態ではありません。

今回の禁煙では一度も「吸いたいポイント」がマックスの10ポイントに至ることはなく、手が震えるようなことは一度もありませんでした(過去にも一度もないですが)。頭が真っ白になって何もできなくなるような禁断症状も出てません(これは過去にあります)。わさびやねりからしの消費量は増大していますが、口が寂しくてバカ食いしてしまって体重が増大するってこともありそうにない。

しかし、これらはすべて過去形です。さっきネットを見ていたら、吸いたくて吸いたくてしょうがなくなりました。禁煙のためのサイトを読むと「吸いたいポイント」がマックスになります。今回の禁煙で、今現在がもっとも吸いたい。

不思議でしょう。なぜこうなるのでしょうか。

 

 

心理的リアクタンスがタバコの魅力を増大させる

 

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ああったサイトは心理的リアクタンスを存分に刺激するため、禁煙を挫折させる効果が抜群です。読んでいる間、わさびやねりからしが手放せませんでしたよ。

禁煙で銭儲けをしているような連中は、ネットを見ただけで禁煙されては商売にならないので、それでいいわけです。「ムチャクチャ困難な禁煙を成功させるためには金を出せ」ってことです。ゲスいなあ。そういうゲスさが伝わるので、いよいよ「こんなヤツらに従うか」と決意を新たにします。

とくに「見てはいけないとされると見たくなる」「人の秘密を知りたい」「入手困難と言われると欲しくなる」「“禁断の〜”と形容されるような関係や行為に欲情する」「信号は赤のうちに渡る」「デスメタルやデスボイスが好き」といった指向が強く働きやすい人が本気で禁煙するのであれば、心理的リアクタンスを刺激されますので、ああいうサイトを見ない方がいいですよ。そういう人たちは「見ない方がいい」と言われると、見てしまうわけですが。

 

 

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