松沢呉一のビバノン・ライフ

なんで私が「アニマル・レスキュー動画に気をつけろ」なんて言わなければならんのかと思いつつ言っておく-(松沢呉一)

 

気分転換には動物の動画が最適

 

vivanon_sentence「ビバノン」を読んでいる方はおわかりのように、私はプロテストものや自然災害ものの動画ばっかり観ています。

警察にプロテスターが殴られて血まみれになっている動画や、洪水で家や車が流される動画をずっと観ていると、だんだん気持ちが荒んでくるわけですよ。そういう時は気分転換に他のものを観るのですが、もっとも息抜きにいいのはMVと動物ものです。

自然環境の動物の生態をとらえた動画でも、動物園の食餌風景の動画でも、深海魚を釣って食う動画でも、全部楽しい。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫のどれでも楽しい。気づくと、5時間くらい見続けていたりします。ただの気分転換のはずなのに。

2日ほど前もキツネの子どもを拾って育てる動画を観て(どこの国か忘れました)、その流れでアニマル・レスキューものを観ていたら、以下の動画がオススメで出てきました。

 

 

ベトナムで食用として売られている犬を買った人に金を払って買い戻す。犬が後ろ手に縛られているのはひどいですね。寄付したくなります。と思った人は「ビバノン」をちゃんと読んで、リテラシーを身につけた方がいいと思います。

 

 

虐待されている動物を買い取ったら虐待が増加するだけ

 

vivanon_sentenceこの動画を観て、「ん?」と思いました。ベトナムでも犬を食うのかもしれないけれど(続編参照)、カメラを回しながら、ホーチミン市をパトロールしているだけで見つかるのか?

日本でも犬鍋は食えるし、肉を買うこともできますが、精肉されたものが輸入されています。韓国や中国でも生きた犬を買ってきて、家で殺して食べる人はほとんどいないでしょう。韓国でも中国でも食べることや料理を提供することは禁止されていなくとも、虐待は禁止されていそうなので、扱い方、殺し方にはルールがあるかと思われます。

ベトナムでは虐待を禁じる法律がないのだとしたって、近代化の進むベトナムでなおそれほど日常的な光景であるなら、こんな活動したって無駄ですよ。キリがないじゃないですか。あのおばちゃんはもらった金でまた市場に行って買うだけ。食肉業者は余分に売れて喜ぶだけ。生産者はもっと生産数を増やすだけ。

なんなら、野良犬を捕まえてひどい扱いでバイクに乗せて走っていればこの団体が買ってくれます。あるいはペットを捨てたい人も同じようにすれば引き取ってくれる上に金もくれます。もしホーチミン中でこういう人たちがバイクで走っているのだとしたら、この団体のせいじゃないか。

虐待防止で金を出すのは悪手です。「虐待すれば金になる」となれば虐待する人が増えます。金になればなんだってする人がいますよ。

普通に知恵が働く団体なら、こんな活動はしない。政治家に働きかけて、法律や条例を作る活動をするはず。普通の知恵がない団体なのだとしても、行動がまた怪しい。

※それらしく作られた団体のロゴ。Facebookより

 

 

アジアン・ペット・レスキュー・センター(Asian Pet Rescue Center)の怪しさ

 

vivanon_sentenceアニマル・レスキューは、通常、複数で行動します。場所によっては危険であり、犬の命を助けるために、人が崖から落下したり、穴に転落して死んだのではシャレにならないです。また、犬が抵抗して人に噛みつくこともありますし、虐待している飼い主に暴行されるかもしれない。その対処をするため、最低2人は必要。

なのに、この動画では1人だけ。もう1人はカメラを回しているだけ。この場合は必要ないとも言えますが、同じアカウントの他の動画でもそうなのです。

また、拘束を外したら、普通はすぐさま収容施設に連れていくか、医療設備のあるところに連れていくでしょう。外傷はなさそうなのに、なんで路上でケアしているんだ? この時も複数の人がいないと犬は逃げます。なんで懐いているんだ? その上、手つきがぎこちない。この人は犬のケアに慣れていないのではないか。

「この動画は怪しいぞ」と思ったのですが、一点気になったのはAsian Pet Rescue Centerというロゴがバッグや車に描かれていて、Tシャツも作っていることです。これだけを見ると、実在する団体のようでもあります。

一方でまともな活動をしている団体が、金が足りずに詐欺みたいなことをしている可能性もありそうです。

と思ったのですが、車のロゴがどんなもんか以下を見てわかりました。

 

 

 

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