松沢呉一のビバノン・ライフ

中国政府が地球環境を本気で考えているとは思いにくい—中国の停電ドラマは来年まで続く-(松沢呉一)

 

中国の停電は温暖化対策と無関係

 

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台風16号で、千葉県銚子市や館山市を中心に15,000世帯が停電。たかが数時間でも停電は辛い。家庭だけでなく、倉庫で冷蔵・冷凍してあったものがダメになり、エレベーターが止まり、非常電源が機能しないと病院で死者が出ます。

先月後半、中国では、23省中20省の総計で数百万単位の世帯が停電したということで、非常に広い範囲で起きたことがわかります。

恒大集団の経営危機より大きな問題だとすぐに察知して、「ドイツの連立政権の難しさと中国の石炭確保の難しさ—中国の大規模停電は温暖化対策によるものではなさそう」を書いたわけですが、さすがにここ数日で温暖化対策云々という中国政府のごまかしに乗った報道は見なくなりました。なんで中国共産党に忖度するような報道をするんですかね。意識的にそうしている連中がいるだけでなく、無意識にそうしてしまうメディア関係者がいるのではなかろうか。

もし中国政府が温暖化対策を本気でする気があるんだったら、真っ先に国慶節での民族大移動を控えるようにお達しを出すと思います。一党独裁の全体主義国家なんだから。

 

 

 

 

すでに確認したように、自分でできる地球温暖化対策を実施すると考えている中国人は意外に多いようなので、「飛行機に乗らない」「国外に出ない」「車を使わない」といった対策をとっているのもいるとは思いますが、7億人(6億5千万人としている報道も多い)が移動する習慣を放置しておいて、温暖化対策として電力供給を抑えたのだとしたら、中国共産党はただの馬鹿ですよ(この映像に出てくる万里の長城は「北京近く」ということなので、北京の人たちが控えめなレジャーに留めたとも思えますけど)。

 

 

中国・停電ドラマは来春まで続く

 

vivanon_sentence中国の停電騒動は、中国の発電の3分の2を占める石炭の不足によるものであり、始まりは、新型コロナウイルスの起源調査を求めるオーストラリアに対する制裁です。中国の輸入石炭の半分以上はオーストラリアからの石炭だったのに、メンツのために輸入をストップしたら、コロナ禍で石炭の生産量が減ってしまって値段が高騰し、中国は石炭不足で発電需要を賄えなくなったでござる、の「自業自得オモシロドラマ」を展開中。

 

 

 

 

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