松沢呉一のビバノン・ライフ

ケニア人の反中国感情はどこから生じているのか—ケニア人お断りの中華レストラン/中国人がケニア人をサル扱いする中国系企業-(松沢呉一)

連続少年殺害事件の容疑者が殺された—ケニアの治安とリンチ殺人」の続きです。

 

 

ケニアにおける反中感情はどこから生じたものか

 

vivanon_sentence前に書いたと思いますが、私の中では「日本にいる中国人は、他の国に比べて日本語が達者」という印象があります。日本人は中国語の濁音と半濁音の区別が難しいように、中国人も日本語の濁音と半濁音の区別が苦手な傾向があったり、格助詞が面倒で飛ばす傾向はあったりしますが、日本に来て1年かそこらとは思えないくらいに流暢なのがいます。

これには理由があって、漢字文化であることが関わっていそうです。非漢字文化圏の人たちに比べると、読解が容易であり、書くのも比較的容易。その分、言語の理解がスムーズになる。

日本人も漢字を使う中国語の理解が比較的容易ですし、続いてローマ文字を使用する言語が学ぶのが楽。スワヒリ語もローマ文字で表記します。また、ローマ文字とルーツは同じキリル文字ならともかくとして、エチオピアのゲーズ文字を理解するのはハードルが高い。

といった言語の特性による中国人の有利さもありつつ、日本に来ている中国人は多かれ少なかれプラスの評価を伴って日本を選択していることが多い点も関わっていましょう。漫画やアニメによる日本理解であったとしても、日本のことが好き、日本を知りたいという姿勢があれば日本語を学ぶことも苦ではない。こういう中国人たちには親しみを抱きます。

対してアフリカに行っている中国人にとってはその国へのプラスの評価はなく、先行するのは金です。金を儲けるためにアフリカに行っているだけなので、その国の文化、その国に住む人々のことはどうでもいい。だから現地語を覚えないし、現地の料理も食べない。

これ自体が差別とまでは言えなくても、潜在的差別要因ではあります。そのことを具体例とともに確認していきます。

※2019年10月14日付「GREENFINANCE AND DEVELOPEMENT CENTER」 ケニアと中国の会社が建設するケニア初の石炭発電所に対してケニアの団体が反対をしているとの記事。彼らは再生可能エネルギーによる発電を提案しています。中国は環境にまったく配慮しないことが反中国機運を高める要因のひとつです。

 

 

ケニア人お断りの中華レストラン

 

vivanon_sentenceシンノスケ氏が「ケニアでは反中感情が強い」と言ってました。これは故なきことではありません。ケニアの人たちの反発を買うようなことをやっています。

以下の記事はナイロビの中華レストランが、午後5時以降、黒人のアフリカ人の入店を禁止にしたという内容。

 

2015年3月25日付「france24

 

 

過去に強盗に襲われたことの対策だと言ってます。こんなことをしてっから狙われるんじゃないか。これでは欧米から来ている人たちも来なくなりますが、中国人の客だけでいいということかと思います。中国人たちは好んで中華料理を食いますから、中国人を相手にするだけでやっていけます。その中国人たちにとっては黒人が来ない方が安心ということでしょう(追記:この店のオーナーは逮捕され、店は閉鎖されたとこのこと)。

従業員のすべてがケニア人であるチェカフェではこんなことは決してしない。強盗に襲われたとしてもしないでしょう。

これによる反中国感情の高まりを抑えるために国会議員が友人の中国人と撮った写真を公開したのが上のSSの写真だそうです。国民としては国会議員はどうせ中国から金をもらっていると思っているので、あんまり効果はなかったのではなかろうか。

 

 

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