松沢呉一のビバノン・ライフ

中国人によるケニア人へのムチ打ちはまだマシな方かも—中国がケニアに建設した鉄道(The SGR)でのおぞましい差別待遇-(松沢呉一)

ケニア人の反中国感情はどこから生じているのか—ケニア人お断りの中華レストラン/中国人がケニア人をサル扱いする中国系企業」の続きです。

 

 

 

遅刻したケニア人をムチ打ちする中国人

 

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ケニアのニュース映像をさまざまチェックしていて気づいたのですが、前回見た「ケニア人お断りの中華レストラン」は、中国人のオーナーが逮捕されて、店は閉鎖されてました。

 

 

ケニア人への差別的対応を直接の理由とする逮捕ではなく、許可内容と違う営業をしていたことによるものです(具体的に何がどう違反していたのかわからないのですが)。とは言え、差別的姿勢がきっかけであって、別件逮捕です。

このケースでもケニア人をサル扱いする中国人のケースでも、多数ケニアにいる中国人の中におかしなのがたまたま混じっていただけではないかと思った人もいるかもしれない。日本人にもおかしいのはいるし、どこ国でもいますから。

なぜか中国については批判的に語ることを避けて、なんとしても擁護の言葉を探そうとする人たちがいて、彼らはそういうことにしたいでしょう。「どこにでもある話でしかない」と。

では、次の例はどうでしょう。

 

 

 

 

昨年2月の事件です。ナイロビにある中華レストランの従業員が、遅刻したケニア人従業員たちをムチ打ちしていた映像です。笑い声は中国人で、撮っているのも中国人のようです。

遅刻がひどいのはそれこそどこの国にもいますけど、ムチ打ちするのはなかなか今の時代にはいないでしょ。

これによって4人が逮捕されています(3人は男、1人は女)。このあとどうなったのかわからないのですが、4人はケニアで働く資格がなく、違法就労だったそうなので、罰金刑にでもなって、強制送還されたはず。

ムチャクチャ仲がよくて、ふざけてムチ打ちをするようなこともあり得なくはなくて、「じゃあ、次はお前の番」とケニア人が中国人を叩く映像が出てきたら仲良しさんですけど、なにしろ中国人です。レストランだと接客があるので英語くらいは話すとして、スワヒリ語は決して使わず、仕事のあとで食事に行ったり、飲みに行ったりする関係ではないでしょう。

仕事が終わったら対等とまでは言わなくても、人と人との関係が構築できていれば、こうはならないはずです。そういう関係が必要であり、そういう関係を作るには現地の言葉を話すことが大事です。

この映像は、これまでにもたびたび出てきているアフリカのテレビ局NTVです。地元メディアはしばしば中国人の不当な言動を取り上げています。中国の政府系メディアと大違いです。

上のレストランの件でもこの件でも、警察は機能しているように見えます。他の報道ではこの映像でムチ打ちをされているケニア人が顔を出して告発しており、これで警察が機能していなければ、解雇されておしまいだったでしょう。

 

 

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