松沢呉一のビバノン・ライフ

英国環境庁の切迫した警告—未来ある若者は奮起し、未来なき私はタバコを吸いたくなる-(松沢呉一)

 

生存か滅亡か、英国環境庁の警告

 

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禁煙1ヶ月です。あっという間でした。

昨日、あまりに寒くて冬物を出しまして、マフラーをしたら、洗濯をしないままケースに入れていたのでタバコ臭かったです。あー、いい匂い。禁煙すると鼻が敏感になってタバコの匂いを満喫できるのがメリットかもしれない。タバコの匂いをプンプンさせた人を私は大歓迎です。

それにつけてもこのところの気候はおかしいっぺ。この半年くらい延々と雨が降り続けていますし、10月なのに12月の気温だし。

気候変動によって、北半球では夏の降雨量が減って、冬の降雨量が増えるらしい。夏の降雨量が減るってことは干ばつが起きやすいので、農作物の収穫量は減るでしょう。夏の降雨量が減るってことは、水道水の確保も難しくなります。池や川が干上がると生態系の破壊が進みます。いいことは何もなし。

これらの話は10月13日に発表された英国環境庁の警告で知りました。

 

 

日本語の記事はBBCの日本語版が詳しい(下のSS)。この記事はプレスリリースそのまんまのため、えれえ長文です。BBCもこの警告の深刻さを理解したがためでしょう。生きるか死ぬかの瀬戸際にいるというシェークスピア的な内容で、「もう時間がない」と悲痛な叫びのような警告になってます。

これを読んで気づいたのですが、ミシシッピーアカミミガメだのブラックバスだのグッピーだの、外来種の駆除をやっても意味ないっすね。外来種がいようといまいと、気温や水温の上昇、水量の変化で少なからぬ在来種は死滅します。

鳥や昆虫、海洋の生物であれば時間差はあれども移動によって穴埋めがさなれますが、河川については自然に生物が入れ替わるには時間がかかり、変化のスピードに追っつかないので、在来種は死に絶えて、あとは人為的に移動させた生物が支配します。ほとんどすべてが外来種になるのです。何千年も何万年も維持されてきた環境が急激に変化すると、そういう事態をもたらします。その点、人間は環境の変化には強いですが、それも限界があります。

ここまで至ると無駄なことをやってもしょうがなく、外来種の駆除に力を注いでいらんエネルギーを消耗するんだったら、気候変動を食い止める方に力を注いだ方がいいです。それも無駄かもしれないので、じっと家にいて何もしないでタバコを吸っている方がまだしもかも。

 

 

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