松沢呉一のビバノン・ライフ

コロナ禍は世界規模の強迫性障害の現象だったのではないか—気候変動による人類滅亡より新型コロナが重視された理由を推測する-(松沢呉一)

 

人類滅亡は避けられそうにない

 

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フレッド・グテル著『人類が絶滅する6のシナリオ』をきっかけとして、ここ数ヵ月気候変動と人類滅亡について時々書いていたわけですけど、考え方はほとんど変わってなくて、「数十年のうちに人類が滅亡する可能性は十分にある」と今も思っています。気候変動は難しすぎて人知を超えているわりに、それに向かう人類の腰つきが甘くて、勝ち目はないです。

この時の「滅亡」は地球上がどこでも摂氏100度を超える灼熱地獄となって高等生物は住めなくなるような状態を必ずしも指すわけではなくて、食糧不足による餓死とその奪い合いによる殺し合いで数十億といった単位の人たちが死ぬことまでを含めた幅の広さがあるわけですが、ここまでの人口の増加がそのまま続いて、80億90億といった単位になる可能性よりも人口が急激に減っていく可能性、つまりは人が大量に死んでいく可能性の方がずっと高いとまでは言っていいかと思います。

すでにマダガスカルでは餓死が始まってますし、難民は受け入れ先がなくてやはり餓死の危機に晒されており、これがさらに大きな規模になっていきます。

今生きている人の7割くらいが死んで人口が20億人くらいまで落ちる場合でも、今までの社会制度、経済、国家という枠組みのすべてがリセットされるので、「滅亡」という言葉を使っていいかと思いますが、滅亡の幅のどこで落ち着くのかはわからんです。誰もわからん。

はっきりわかっているのは、今の「異常」が恒常化して、観測史上初の降雨量、風速、気温、水位の上昇が地球上のあらゆるところで毎年観測されて、それにも慣れていきつつ多数が死んでいくのだろうってことです。

 

 

カリフォルニアの地すべりは山火事に付随する必然

 

vivanon_sentence現在の洪水トレンドはカリフォルニアです。

 

 

この映像を見る限り、そんなにたいしたことがないようですが、被害の大きいのは地すべりです。

カリフォルニアではあれだけの山火事があって、今度は洪水かというところですが、山火事があったから洪水も起きていると考えた方が正しい。予定通りです。

「完全に」ではないですが、山火事が起きた場所とかぶってます。山火事のあとは洪水と地すべりが起きるのはこれまでの事例でも明らかになっていて、以前から、近くで山火事があったら、そのあとの洪水と地すべりに注意との警告がよくなされています。

以下はカナダ/ブリティッシュ・コロンビア州発行のフライヤー

 

 

 

 

山火事で森林は死ぬ。死んだ森林は保水力をなくして洪水と地すべりが起きやすくなり、残っていた木や植物も死ぬ。いよいよ山は火災が広がりやすくなる。

という循環であり、そもそも山火事があれだけ広がったのは、先に森林が死にかけていたからだという見方があるのは説明した通りです。

この循環は今から気温の上昇が抑えられたとしても当面は止まりません。ティッピング・ポイントにまでは至っていないにせよ、止められない循環がいたるところで始まってしまっているので、CO2の排出が仮に抑制できたとしても、気候変動は続き、食糧不足が始まるだろうと思えます。

 

 

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