松沢呉一のビバノン・ライフ

数十年ぶりに解決したトゥレット症候群の謎—そうしないではいられない人々[2]-(松沢呉一)

腹を出している人と陰毛を剃っている人とチックの人—そうしないではいられない人々[1]」の続きです。

 

 

文京区銭湯組合の「秋のタオル祭り」

 

vivanon_sentence今日は大塚の銭湯に行ってました。JR大塚駅は豊島区であり、住所も大塚ではありません。地名の大塚は文京区です。大塚駅周辺にはいくつか銭湯がありますが、地名の大塚には大黒湯しか銭湯が残っていません。最寄り駅は茗荷谷か新大塚か護国寺。

今月は文京区の組合が「秋のタオル祭り」を実施。文京区には組合加盟の銭湯は4軒しか残っていないのですが、毎週土曜日に4軒交代で先着300名にタオルをプレゼント。

 

 

オリンピック期間中も手ぬぐいのフェアをやっていて、この時はスタンプラリー方式。私も手ぬぐいをもらおうと思っていたのですが、途中でヘルペスが発症して挫折しました。人と体を接することはないですから、感染する可能性はゼロに近いにしても、ヘルペスが顔に出ていると銭湯に行きにくいです。

その点、今回は指定の日に指定の銭湯に行けば1回でもらえます。1日に300人来ることは稀ですから、翌日でも大丈夫だろうと思って聞いたら、全部配り終わらなくても、その日だけの配布なんだそうです。お間違えないよう。

今日はこのキャンペーン効果か、大黒湯は混み合ってました。土曜日とあって、父親と子ども、あるいは祖父と孫という組み合わせも見られて、4歳くらいの子どもが興味津々で洗い場を探検してました。たぶん初めて銭湯に来たのでしょう。こういうきっかけになるので、キャンペーンの意義は大きい。

その子は脱衣場に出ても、袋に入ったままのタオルを嬉しそうに眺めてました。

薬湯はピンクリボンの湯でした。たまに見ます。何年か前から乳がん検診のキャンペーンが始まっていて、その時のピンクの入浴剤がそのまま定着したようです。内容は忘れましたが、女性の体に効用があるとされる漢方配合です。

数は少ないとは言え、男性の乳がんもありますし、妻や娘とがん検診の話をする契機くらいにはなります。契機があることは大事なのです。

 

 

チック症状の動画でやっと解けた謎

 

vivanon_sentenceさて、前回の続きです。YouTubeでは、さまざまなタイプの壊れた人が、自身の壊れ方を晒しています。動画ではなく、文字でそれをやっている人たちももちろんいるのですが、動画だから気づけることがあります。

例えば以下はトゥレット症候群の人。

 

 

イカ、うまそう。

本人が説明しているように、自分の目を刺してしまうかもしれない箸が怖い。ペンを持つのも、包丁を持つのも、彫刻刀を持つのも怖い。

彼女は時々自分の体や頭を叩いています。血が出るまで顔を叩く人もいます。自傷行為ですが、リストカッターと決定的に違うのは、チックの人は自分を痛めつけたいのではないことです。潜在意識ではどうあれ、意識としてはそんなことはしたくない。

 

 

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